世界中に展開するコーヒーショップ「スターバックス」の発祥の地としても知られる、ワシントン州シアトルは、アメリカ西海岸の最北にある街で、南にはオレゴン州(Vol.11で紹介)が位置してします。
アメリカワインの産地として知られるワシントン州では、1967年にシャトー・サン・ミッシェルが、カリフォルニア州の伝説的ロシア人銘醸造家である、アンドレ・チェリチェフ氏を招いたことからワイン製造が本格的に始りました。
チェリチェフ氏によってもたらされた当時の最新の醸造技術は多くのワイナリーの誕生へとつながり、1970年代には、15日毎に1つのワイナリーが誕生したとも言われ、2020年頃には1270を超えるワイナリーまで増えています。
ブドウ栽培が盛んに行われているコロンビア・ヴァレーは、オレゴンとの境から内陸中央部へ広がる乾燥した大陸性気候の産地で、昼夜の寒暖差も大きく、夏の平均気温はボルドー(Vol.45で紹介)よりも高い一方で、秋になるとブルゴーニュ(Vol.3で紹介)と同じくらい下がるのが特徴です。
冬の厳しい寒さと乾燥した気候によりフィロキセラが生息できないため、ワシントンの多くの生産者は接ぎ木をしていないため、自根のブドウ樹が多く栽培されているのが特徴で、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、リースリングが主要な品種ですが、一方で多種多様な品種が栽培されるのもワシントンの魅力です。

水の都シアトル
ワシントン州最大の都市シアトルは、州の北西部に位置し、ピュージェット湾とワシントン湖に挟まれた美しい水の都として知られています。
背後に広がる豊かな常緑樹の森から「エメラルドシティ」の愛称でも親しまれていて、気候は海洋性で、夏は乾燥して過ごしやすく、冬は雨が多いものの比較的温暖で、世界的な経済・技術の拠点でもあり、アマゾン・ドット・コムの本社や、航空宇宙産業のボーイングなどが経済を牽引しています。
また、スターバックス発祥の地として独自の深いコーヒーカルチャーが街に根付き、観光名所も数多く点在し、街のシンボルである展望タワー「スペースニードル」や、活気あふれる最古の公設市場「パイクプレイス・マーケット」などが有名です。
19世紀に先住民族のシアトル首長の名前から名付けられた街は、シアトル・マリナーズの本拠地もあってスポーツが盛んで、現在は多様な文化が融合する活気ある大都市として発展を続けています。

ピュージェット湾
シアトルの西部に位置する、太平洋から深く入り組んだ複雑なフィヨルドのピュージェット湾は、東南には都市タコマ、南端には州都オリンピアが位置し、地域の経済や交通の要所となっています。
氷河の侵食によって形成された広大な水域には多くの島々が浮かび、周辺はカスケード山脈などの豊かな大自然に囲まれていて、気候は、高緯度でありながら暖流の影響で冬も比較的温暖で過ごしやすく、年間を通じて穏やかな海洋性気候が特徴です。
また、豊かな生態系を育む場でもあり、シャチ(オルカ)やアシカ、サケといった多様な海洋生物が生息していて、美しい景観を活かしたセーリングやホエールウォッチングなどのマリンスポーツも盛んで、観光地としても高い人気を誇ります。
湾の名は、1792年に湾の調査に訪れたイギリス海軍の探検家であったジョージ・バンクーバーが、部下のピーター・ピュージェット大尉にちなんで名付けたと伝えられています。

スペースニードル
シアトルの中心部に建つ展望塔「スペースニードル」は、1962年の万国博覧会の時に建てられたもので、当時、累計230万人が入場した万国博において、毎日2万人がエレベータを使ってこのタワーに登って以来、シアトルのランドマークとなっています。
レストランや土産物店などの施設が配置される高さ159メートルの展望デッキからは、シアトルの美しい街並みを一望でき、さらに遠くのマウント・レーニアやオリンピック山脈、ワシントン湖に浮かぶマーサー島などの大パノラマも楽しめます。
2018年には大規模なリノベーションが完了し、世界初となる「回転するガラスの床」が設置され、足元に広がるスリリングな絶景が人気を集めています。
タワーが位置する「シアトルセンター」周辺には、チフーリ・ガーデン&ガラスなどの人気観光スポットも集まっていて、シアトルを訪れる際には、絶対に外せない名所となっています。

パイク・プレイス・マーケット
「シアトルの台所」として100年以上愛され、地元住民と多くの観光客で常に賑わう「パイク・プレイス・マーケット」は、1907年開設の歴史ある公設市場です。
エリオット湾に面した活気あふれる場内には、新鮮なシーフード、色鮮やかな花々、ローカル農家の野菜、手作りの工芸品などが所狭しと並び、特に、注文された巨大な魚を威勢の良い掛け声とともに放り投げる「魚投げパフォーマンス」が必見の名物になっています。
世界中に展開する「スターバックスの1号店」があることでも有名で、創業当時の茶色いロゴや限定グッズを求めて多くの人で行列が絶えません。
また、濃厚なクラムチャウダーの名店や、カラフルで奇妙な名所「ガムウォール」、マスコットの豚の銅像「レイチェル」など見どころが満載で、2024年には海沿いへと繋がる歩道「オーバールック・ウォーク」も完成し、散策の魅力がさらに増していて、シアトルの活気と文化を五感で体感できる、街一番の観光スポットになっています。

この機会に、歴史ある公設市場で街の活気と文化に触れながら、あなた好みのアメリカワインを堪能する、旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。



