日本における「巨峰開植の地」で知られる福岡県久留米市は、雄大な耳納連山の麓に広がる肥沃な土地と清らかな水に恵まれ、ブドウをはじめとする果樹栽培が非常に盛んで、独自のワイン文化を発展させてきた地域でもあり、この地で育つ良質なフルーツをベースに、個性豊かなワインが造られてきました。
1972年に田主丸町で創業した「巨峰ワイナリー」は、久留米市のワインを象徴するワイナリーの一つで、創業当時、醸造が困難とされていた生食用の高糖度な巨峰を100%使用し、世界に先駆けて日本初の巨峰ワインを誕生させました。
ブドウ本来の芳醇な甘みとみずみずしい香りを凝縮した味わいは、今も多くの人を魅了し続け、さらに久留米のワイン造りはブドウだけに留まらず、特産品である「あまおう苺」やブルーベリー、キウイ、みかんなど、地元の旬な果実を贅沢に使ったフルーツワインが豊富に揃うのも大きな特徴です。
近年では、地域の若手農家や醸造家による新しいワイン造りへの挑戦も始まっており、単なるお酒の枠を超え、久留米の大自然と農業の魅力を五感で伝える特産品として進化を続けています。

高良大社
久留米市の東の高良山に鎮座する「高良大社」は、およそ1600年以上の歴史を誇る筑後国一の宮であり、九州でも最高位の格式を持つ名社です。
厄除けや延命長寿、交通安全の神様として、古くから地域の人々に「高良の神様」と慕われ、篤く信仰され、国の重要文化財に指定されている壮大な社殿は見どころの一つです。
久留米藩主の寄進により1661年に完成した江戸初期の権現造りで、神社建築としては九州最大級の規模を誇り、境内は筑後平野を一望できる絶景スポットとしても有名で、社務所裏の高良大社展望台からは、久留米市街から鳥栖方面まで広がる大パノラマを見渡せ、夜には息をのむほど美しい夜景が広がります。
毎年8月には、131段の石段の両脇に灯籠が灯る「献灯祭」が開催され、夜景と光の帯が織りなす幻想的な景色がフォトスポットとしても人気を集めています。

久留米流し灯籠
毎年8月15日に開催される、お盆の終わりに在りし日の故人を偲び、先祖を送り出す筑後川の夏の風物詩「久留米流し灯籠」は、かつて行われていた伝統行事「精霊流し」による川の環境汚染を防ぐため、紙や木などの素材を使った環境に優しい灯籠を流す現在の形へと変わりました。
当日は水天宮河川敷を舞台に、4面に4色の色彩が施された色鮮やかな紙製の灯籠、約3,000個が川面へと流され、灯籠には、故人と自身の名前に加え、亡き家族へ宛てた感謝や祈りのメッセージが書き込まれており、夜の筑後川を優しく照らしながらゆっくりと流れていきます。
暗闇の川面にきらめく無数の光が揺らめく光景は非常に幻想的で、訪れる人々の心を静かに癒やします。
灯籠は事前に梅林寺の梅苑や地元の郵便局で販売されるほか、当日も16時頃から河川敷の特設テントで購入が可能で、誰でも気軽に参加し、大切な人へ思いを馳せることができる久留米の温かな行事です

石橋文化センター
1956年に株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が、郷土に寄贈した広大な複合文化施設「石橋文化センター」は、「芸術・文化の振興」と「潤いある憩いの場」をテーマに、市民の憩いの場として長く愛され続けています。
約8ヘクタールの広大な園内は、四季折々の花々が咲き誇る美しい日本庭園や洋風庭園に彩られていて、久留米市の市花でもあるバラは、春と秋のシーズンになると約400品種2,600株が咲き乱れ、園内全体が華やかな香りに包まれる人気のスポットです。
敷地内の中核をなす「久留米市美術館」では、九州ゆかりの近代洋画を中心とした質の高いコレクションが鑑賞でき、コンサートや舞台が催される「石橋文化ホール」に、創業者ゆかりの品を展示する「石橋正二郎記念館」、図書館なども点在しており、豊かな自然の中で芸術や文化を一日中深く満喫できる久留米を代表する文化拠点です。

とんこつラーメン発祥の地
九州のラーメン文化の礎を築き、世界中で愛されるとんこつラーメンのルーツは、博多ではなく福岡県久留米市にあります。
1937年(昭和12年)、明治通りに誕生した屋台「南京千両」が始まりで、初代店主が横浜の支那そばと故郷・長崎のちゃんぽんをヒントに、九州初の豚骨スープを考案しました。
当時のスープは、現在のイメージとは異なる「透明な清湯(ちんたん)スープ」でしたが、1947年(昭和22年)に、同じく久留米の屋台「三九」の店主が、仕込み中に偶然スープを強く煮込みすぎてしまったことから、コクと旨味が凝縮された伝説の白濁スープが誕生しました。
この久留米で生まれた技法が熊本や博多など九州各地へ伝わり、それぞれ独自の進化を遂げてきました。
JR久留米駅前には「とんこつラーメン発祥の地碑」が設置されており、今もなお多くのラーメンファンが聖地巡礼に訪れています。

この機会に、発祥の地のとんこつラーメンを味わい、季節感あふれるフルーツワインを堪能し、久留米の街を満喫する、旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。



