TOKYO BRIDGE WALK

TOKYO BRIDGE WALK Vol.53「桜橋」

1985年に完成した隅田川で唯一の歩行者専用橋の「桜橋(さくらばし)」は、台東区と墨田区の姉妹提携事業として、両岸の隅田公園を結ぶ園路の役割を持ち、花見のシーズンには、両岸の桜を楽しむ多くの人で賑わいます。

形状は、平面が交差する「X形」を描き、かつ曲線状の桁で構成される特異的な鋼製の箱桁橋で、周辺との景観との調和を考慮した色彩や素材にも工夫が見られ、石畳やガラス張りの手すりなど公園の橋としてゆったり風景が楽しめるように設計されています。

両岸の橋のたもとは、無粋な護岸堤防を150メートル切り取り、市民が水辺を楽しめるようにテラスが設けられていて、映画やドラマなどのロケにもよく使われることで知られています。

中山美穂が向島の芸者を二役で演じた、1987年のフジテレビドラマ「おヒマなら来てよネ!」では毎回登場し、アニメ作品の映画版「逮捕しちゃうぞ」では、最初に爆破された橋としても有名です。

橋周辺の年間行事で有名な隅田川花火大会の開催時は、付近が花火の打上場所の第一会場となる事から、橋上や周辺地域は立入禁止区域となります。

 

 

江戸蕎麦処

橋の東岸、墨田区向島の歴史ある花街に佇む「向島七福すずめの御宿」は、料亭が手掛ける極上の天ぷらと手打ち江戸蕎麦の専門店で、とうきょうスカイツリー駅から徒歩約8分、隅田川近くの閑静な路地に位置し、隠れ家のような落ち着いた大人の空間が広がっています。

最大の特徴は、玄蕎麦100%の自家製粉を使用した風味豊かな蕎麦を、江戸時代の伝統的な製法で再現した「煮ぬき汁」で味わえる点で、これは味噌に大根おろしの汁とかつおだしを合わせた、醤油が普及する前のつゆで、現代の醤油つゆとの贅沢な食べ比べを楽しめます。

また、もう一つの看板である「揚げ前天ぷら」は、独自にブレンドした油でカラッと軽やかに揚げられており、素材の旨味が凝縮されています。

下町の蕎麦店としては珍しい本格的なカウンター席が用意されており、職人が目の前で天ぷらを揚げる職人技を五感で堪能でき、料亭仕込みの確かな技術が息づく一品料理や、旬の食材を散りばめたコース料理も充実しており、特別な会食や粋な大人のひとときを過ごすのに最適な名店です。

 

 

竹屋の渡し

かつて東京都の隅田川に存在した歴史ある渡し船「竹屋の渡し」は、別名「竹町の渡し」「花川戸の渡し」「業平らの渡し」「待乳(まつち)の渡し」とも呼ばれていて、この渡しは、台東区側の山谷堀(現在の浅草・花川戸付近)と、対岸の墨田区側にある向島三囲神社前の間を結んでいました。

江戸時代から明治・大正期にかけて、橋が少なかった隅田川において両岸を行き来する人々の重要な交通手段として親しまれ、10人乗りの小さな船が何往復も運行されていて、「竹屋」という名の由来は、山谷堀にあった高名な船宿の屋号だと言われています。

この渡しでは、川の対岸にいる船を呼ぶ際、女主人が「竹ヤー」と美しく澄んだ掛け声を響かせていたことで知られ、その風情ある姿は東京の名物として多くの人々の記憶に残っています。

その後、隅田川への架橋が進んだことで役目を終えましたが、現在は浅草側の隅田公園内に「竹屋の渡し跡」の碑がひっそりと建てられており、往時の江戸情緒を今に伝えています。

 

 

今戸神社

橋の西岸、台東区浅草に鎮座する1063年創建の「今戸神社」は、都内屈指の縁結びのパワースポットとして絶大な人気を誇り、御祭神には、日本神話で最初に結婚した夫婦の神様である「伊弉諾尊(いざなぎのみこと)」と「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」が祀られており、恋愛成就や良縁祈願に厚いご利益があるとされています。

また、江戸時代の今戸焼に由来する「招き猫発祥の地」の一つとしても有名で、境内の至る所に可愛らしい猫の置物があり、本殿横にある一対の巨大なカップル招き猫は、撫でて携帯の待ち受け画面に設定すると願いが叶うと言われています。

良縁を円とかけた「丸い形の絵馬」や、猫のイラストが描かれた御朱印帳や御守りも評判で、日々多くの参拝客で賑わい、さらに、新選組の沖田総司の終焉の地とも伝えられ、歴史ファンの注目も集める魅力的なスポットになっています。

 

 

千年桜

東京都台東区側の隅田公園の「桜の広場」に植えられた象徴的な「紅枝垂桜(べにしだれざくら)」は、「千年桜」と呼ばれ、日本三大桜の一つであり国の天然記念物に指定されている福島県の銘木「三春滝桜(みはるたきざくら)」の子孫樹です。

東日本大震災からの復興祈念や絆の象徴、そして公園のシンボルツリーとしてこの地に植樹され、現在では「隅田公園千年桜プロジェクト」が立ち上げられ、地元のボランティアの方々の手によって大切に管理・継承されています。

桜の開花時期には、樹の周囲に菜の花が美しく咲き誇るよう植栽の工夫がなされていて、ピンクと黄色の鮮やかなコントラストが見事で、江戸時代から続く伝統的なソメイヨシノの桜並木や、近代的な東京スカイツリーの景色とあわせて、歴史と復興の想いを繋ぐ特別な一本として多くの人々に親しまれています。

 

 

日頃、何気なく渡る橋にも、毎日通る道にも、その街の歴史や風情を見に、是非この機会に、いつもの街を少し視点を変えて散策してみてはいかがでしょうか。