ウズベキスタンは、シルクロードの要衝として栄えた歴史的な街並みが魅力で、壮麗なイスラム建築、活気あるバザール、美しいタイル装飾など、古くからの面影が残る場所が多くあり、旅行者を歴史の旅へと誘ってくれます。
サマルカンド、ブハラ、ヒヴァといった世界遺産の都市では、青いタイルで彩られたモスクやマドラサ、美しい手仕事の工芸品、活気あふれるバザールなどが楽しめ、そして豊かな食文化もあり治安が良く物価も安いので、日本人にも旅行しやすい国として人気が高まっています。
そして、ウズベキスタンはワインの歴史も古く、ロシア帝国が中央アジアに進出した頃に遡ると云われますが、ワインが、この陽光に恵まれた国のもう一つの魅力であることは、まだあまり知られていません。

サマルカンド
中央アジアのシルクロードの中心地として栄えたウズベキスタンの古都サマルカンドは、首都のタシケントの南西約300㎞の所に位置し、紀元前からの歴史があり、古代ギリシアのアレクサンドロス大王も訪れたと伝えられていて、2001年に世界遺産に登録されました。
14世紀にはティムール帝国の首都となり、有名なレギスタン広場やシャーヒズィンダ廟群をはじめとした美しいイスラム建築が多く建てられ、青色のタイルで装飾されたこれらの建造物は、その鮮やかな青色がサマルカンド・ブルーとして知られています。
活気あふれるバザールでは、新鮮な野菜や果物、刺繍などの伝統工芸品が豊富に並び、美しい建築と豊かな歴史、そして親しみやすい人々がつくり出す雰囲気で、多くの観光客を魅了しています。

レギスタン広場
サマルカンドの街の中央にあるレギスタン広場は、ウズベキスタン随一の観光スポットとして知られ、シルクロード主要路の交差点として、かつては多くの交易商人が行き交い、活気にあふれていた場所です。
また、政治・経済・文化の中心的な場所でもあり、広場内には、メドレセと呼ばれるイスラムの神学校が三つ建ち、その全てにサマルカンド・ブルーと呼ばれる青を基調としたタイル装飾が施されています。
この鮮やかなタイルは、中国の陶磁器とペルシアの顔料が組み合わさって誕生したものと云われ、広場を日中に訪れると、青空に映えるメドレセの美しさを堪能できます。
日が暮れて夜に訪れてみると、ライトアップされたメドレセが暗闇に浮かび上がり、また違った幻想的な景色を見ることができます。

ティラカリメドレセ
サマルカンド観光のハイライトともいえるレギスタン広場内には、メドレセと呼ばれるイスラムの神学校が三つ建ち、広場に向かって右に建つのがシェルドルメドレセ、左に建つのがウルグベクメドレセ、そして中央にそびえ建つのがティラカリメドレセです。
このティラカリメドレセの建設はシェルドルメドレセ完成の10年後、同一の建築家によって1646年に建設が始められ、1660年に完成しました。
ティラカリメドレセの中には、青いドームで覆われた礼拝堂があり、ティラカリとは金箔という意味で、その名の通りドームの下は金箔で覆われていて、輝く金と深い青が織りなす緻密な装飾は、まさに心奪われるような美しさです。

シャーヒズィンダ廟群
サマルカンドの聖地として知られる観光名所のシャーヒズィンダ廟群は、預言者ムハンマドのいとこ、クサム・イブン・アッバースのために造られた霊廟で、シャーヒズィンダとは、生ける王という意味です。
クサム・イブン・アッバースが、異教徒に襲われ首を切られながらも、首を持ってその後も生きながらえていると言い伝えられていたため、この名が付けられ、かつては霊廟が42カ所あったといわれていますが、現在では14カ所のみが一直線に並んで残っていて、濃淡さまざまな青のタイル装飾の美しさに、多くの観光客が魅了されます。
また、巡礼者が訪れる神聖な場所でもあるため、観光の際には敬意を払い適切な服装で訪れましょう。

ホフレンコ・ワイナリーのワイン醸造博物館
ワイン醸造博物館は、ホフレンコ・ワイナリーとしても知られ、歴史的建造物と並んでサマルカンドのユニークで魅力的な観光名所として知られています。
この博物館は、150年以上営業しているホフレンコ・ワイナリーとの豊かな歴史とつながりにより、サマルカンドの観光名所の中でも特別な位置を占めています。
ワイナリーの始まりは、ロシア帝国が中央アジアの領土に侵攻する頃、サマルカンドでは糖度の高い優れた品種のブドウが栽培されていて、そこに到着したロシア人のワイン醸造家で実業家のD.M.フィラトフが、ウズベキスタンで最初のワイナリーを開きます。
15年間にわたり事業を世界レベルへと導き、栽培されたワイン品種「ビイシュティ」がパリで開催されたワインとブランデーの国際展示会で金賞を受賞すると、世界中からこの素晴らしいワインを求めてコレクターがサマルカンドにやってくるようになりました。

ソビエト政権が誕生すると、フィラトフはワイナリーを放棄せざるを得なくなり、彼は最高級のワインのコレクションをなんとか隠し、ワイナリーの再建中に偶然発見されるまでは数十年間発見されませんでした。
再建されたワイナリーの支配人には、才能あるワインメーカー、M.A.ホフレンコが就任し、彼は新しい品種のブドウを選び、ワインの格付けを行い、ウズベキスタンのワイン産業の発展に大きく貢献しました。

現在、ホフレンコ・ワイナリーでは、様々なワイン、ブランデー、ウォッカが生産され、セラーには長期熟成用の新しいワインが貯蔵され、サマルカンド・ワインのベスト・ヴィンテージはオークションで販売されています。

この機会に、シルクロードの歴史的な街並み、壮麗なイスラム建築、多様な文化体験、そして豊かな食文化とワインを堪能しに、ウズベキスタンへの旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。



