ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.53「ブラジル:ポルト・アレグレ」

南米最大の面積を誇る国であるブラジルは、その総面積は日本の22倍、常夏の北部から、雪も降る南部まで、熱帯のジャングルから極度に乾燥したセルタオンまで、南ヨーロッパを思わせる山岳地帯から、果てしない草原地帯まで、あらゆる気候のあらゆる地域を擁する、果てしなく広大な国です。

南米のワイン生産国では、チリとアルゼンチンの知名度が圧倒的に高いですが、ブラジルのワイン造りの歴史は古く、16世紀にポルトガルからブドウがもたらされ、19世紀にイタリア移民によって本格的なワイン造りの基礎が築かれると、1970年代にはフランス系の醸造所が進出し、今でも発展を続けています。

 

 

南部に6つのワイン産地がある中で、リオグランデ・ド・スル州と、サンタ・カタリーナ州で合わせて国内生産量の実に90%を占めていて、ヴィーニョ・フィーノと呼ばれる、ヴィーティス・ヴィニフェラ系品種のワインを生産しているのは約400醸造所のうち、300以上の醸造所がリオグランジ・ド・スル州に点在しています。

 

 

ポルト・アレグレ

ブラジル最南部にある人口約150万人の都市「ポルト・アレグレ」は、ブラジルワインの産地、リオグランデ・ド・スル州の州都であり、その都市名はポルトガル語で「陽気な港」という意味を持っています。

グアイバ川に面し、南に大西洋と接するパトス湖のあるブラジルを代表する港町は、ヨーロッパからの移民が多く、中心街であるセントロ・ヒストリコ(歴史的地区)にはヨーロッパ風の歴史的建造物が残されていて、年間を通しての温暖な気候と相まって観光客に人気の町です。

 

 

ポルト・アレグレの住民は自分が「ガウーショ」、カウボーイ文化の人々であることに誇りを持っていて、その文化の影響からかマテ茶を飲む習慣が残っています。

1989年には、市民が市役所の予算編成に関わる市民参加型予算が実施され、この面でも世界的に注目を集める町となりました。

 

 

カラコル公園

ポルト・アレグレから北へ車で2時間程のカネラ市の郊外に位置する「カラコル公園」は、25ヘクタール(25万㎡)の面積を持ち、カラコルの滝を主な見どころとする自然の魅力が溢れる人気の観光名所で、展望台に登ると、落差131メートルあるカラコルの滝の全貌をはっきりと見ることができます。

公園内にはさまざまな難易度のトレイルからロープウェイやエコ階段もあり、よく整備されていて滝や森林の風景をさまざまな角度から楽しむことができます。

軽いハイキングを楽しんだり、屋外で写真を撮って楽しんだり、自分の体力に合わせて過ごすには最適な場所です。

 

 

公園のある地域は、先史時代にはカインガン族や果物や種子の収集家、そしてハンターによって占められていて、ヨーロッパから最初に訪れた探検家がカネレイラ(シナモン)の木にキャンプを作ったことからこの地域に「カネラ」という名前が付けられたと伝えられています。

 

 

リオグランデ・ド・スル州は、気温が10度を下回る寒い日もあれば、40度近くまで上がる暑い日もあり、明確な雨季がないため、年間を通して雨が降る可能性があるので、ポルト・アレグレの旅を最大限に楽しむためには天気予報の確認は欠かせません。

「グアイバの夕陽」といわれる素晴らしい光景は、ポルト・アレグレ観光の楽しみの一つで、海岸には座って夕日を楽しめるスポットがたくさんあります。

夕陽を楽しんだ後は、ブラジルで最も多くのクラフトビール醸造所がある町で、ガウチョ伝統の美味しい食事とクラフトビールを堪能しましょう。

 

 

「情熱の国のワイン」と謳われるパワフルなイメージの物から、近年はエレガントな味わいやポテンシャルの高い長期熟成系のワインにも注目が集まるブラジルワインとの出合いに、ブラジルはポルト・アレグレの旅を計画してみてはいかがでしょうか。