旬感食 to ナ美

旬感食 to ナ美 Vol.34「タコ」

刺身や酢だこ、たこしゃぶやたこ飯はもちろん、おでんの具やたこ焼きでもよく食べられるタコは、全盛期に比べて国内の漁獲量が減少傾向にあるようです。

食用とされるタコの代表格であるマダコは特に愛好され、名産地はいくつもありますが、兵庫県明石や神奈川県佐島はタコの名産地として有名で、「西の明石、東の佐島」と呼ばれるほどです。

 

 

一般的にタコと言えば、食用としても馴染み深いマダコを指す場合が多いですが、食用として、マダコのほかにミズダコ、イイダコ、テナガダコなどが知られています。

大阪の池上・曽根遺跡など弥生時代の遺跡から、蛸壺形の土器が複数出土している事から、日本人とタコの関係は古く、料理では刺身や寿司、煮だこ、酢蛸、おでん、たこ焼き、蛸飯などの具材として親しまれています。

タコは、その姿から「多股(たこ)」が語源だという説があります。

漢字では「蛸」と書きますが、本来「蛸」はクモのことで「海に棲むクモ」という意味から「海蛸子」と表していたものが省略された言われています。

また、タコは「章魚」とも書かれますが、歴史的には「鮹」が最も古く、平安時代の文献「新撰字鏡」892年(寛平4年)や「延喜式」927年(延長5年)にその記載が残っています。

 

 

マダコの生態

マダコは温帯性で、太平洋や日本海をはじめとして、大西洋、地中海と世界中に多く分布しています。

日本近海では北陸から九州西岸の日本海沿岸、三陸から四国、九州にかけての太平洋沿岸、瀬戸内海が主な生息地として知られています。

潮間帯から水深40m程までのところを好み、日中は岩礁の隙間などに潜み、夜になると活発に行動し、エビなどの甲殻類や二枚貝などを捕食します。

色素細胞で覆われた体表は、周囲の環境に合わせて体色を変化させ岩石や海藻に擬態します。

また、イカのように墨を吐くことで外敵の目をくらますことも知られているが、いざとなればトカゲのしっぽと同じく、自ら腕を切り落とし、それをおとりにして逃げることもあるようです。

マダコの産卵期は、海域にもよりますが暑い夏にピークを迎えると言われています。

メスは交尾後岩礁の穴の中などを巣にし、その天井にぶどうの房状の卵塊を十数個ぶら下げるように産み付け、メスはその後卵が孵化するまでの1ヶ月以上も何も食べずに卵の傍から離れず、常に新鮮な水を送り込んだり、腕の吸盤でブラッシングして外敵から卵を守り続けます。

そして、卵からチビダコたちが旅立つのを見届けながら、衰弱して一生を終えるのです。

その愛情溢れる姿は知性ある者の豊かな情緒を感じさせてくれます。

 

 

タコの栄養素

タコにはイカと同じようにタウリンが豊富に含まれています。

タウリンには胆汁酸の分泌を促成し、肝臓の働きを促す作用をはじめ、血中コレステロールを下げ動脈硬化などを予防する働きがあるとも言われています。

また、脂質がとても少なく、たんぱく質が豊富で、旨みのもととなるアスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸も豊富に含んでいます。

ただし、比較的消化に時間がかかる食材なので胃腸が弱っている時は食べ過ぎに注意しましょう。

 

 

八本の足にちなみ8月8日は「タコの日」。

伝統の蛸壺漁法を守り続ける瀬戸内海のタコの名産地・広島県三原市が、1996年(平成8年)にタコを弔う「タコ供養」をこの日に行い始めたことにあわせて設定されたようです。

日本人が、ウナギやマグロと同じように好んで食べてきたタコは、近年、その知能の高さに加え、「タコ格」とも言い得る個性や自意識を持つことが判明した事で、学術的にも世界から注目を集めています。