島根県出雲市は、松江市、鳥取市に次ぐ山陰地方第3の人口を抱える都市。
ヤマタノオロチ伝説が全国でも知られ「神々の国、出雲」として有名な市は、出雲大社、須佐神社、西谷墳墓群、荒神谷遺跡ほか豊富な歴史・文化遺産に恵まれ、中世に活躍した出雲源氏の発祥地でもあり、古代史文化のシンボル的な空間を造り出している。
近年注目のパワースポット
日本最古の歴史書といわれる「古事記」にその創建が記されている出雲大社は、「神々の国、出雲」を象徴するかの如く八雲山を背にそそり建つ。
主祭神は、大黒様として馴染みの深い「大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)」で、「古事記」に記される国譲り神話には、大国主大神が高天原の天照大神(アマテラスオオミカミ)に国を譲り、その時に造営された天日隅宮(アマノヒスミノミヤ)が出雲大社の始まりと言われ、八雲立つ神域には森厳なる空気が流れ、厳粛な緊張感が漂う。
縁結びの神・福の神として名高い出雲屈指のパワースポットには、多くの観光客が訪れ、青空に突き刺さるような千木を仰ぎ見て、壮大な神代の世界がここに存在したことを想像している。
旧国鉄大社駅
1912年(明治45年)に大社線の開通と共に開業した「国鉄大社駅」は、一時期は東京や大阪などからも直通列車が運行するほど、出雲大社の玄関口として多くの参拝客で賑わっていた。
1924年(大正13年)に改築された現在の駅舎は、441平方メートルの木造平屋建てで、1990年の大社線の廃止により駅舎としての役割を終えたが、豪壮な外観とその存在感は今もなお健在で、この優美な駅舎は2004年に国の重要文化財として指定され、2009年には近代化産業遺産にも指定されている。
黒い屋根瓦に漆喰の白壁という純和風のデザインに、和洋融合する大正ロマンを感じる重厚な駅舎内は鉄道ファンのみならず、一見の価値有りと今でも多くの観光客が訪れている。
断崖に立つ日本一の灯台
島根半島の最西端の断崖に立つ「出雲日御碕灯台」は、1903年(明治36年)に建てられた、高さは43.65メートルの日本一の高さを誇る灯台だ。
海面から灯塔の頭上までは60メートル以上も有り、夜には48万カンデラの光度が沖合約40kmまで達し、100歳を越えた今も現役で海の安全を守っている。
松江市美保関町から硬質な石材を切出して使用した美しい石造りの外壁と、レンガ造りで施され内壁は空間をあけた特殊な二重構造となっている。
その歴史と文化的価値が評価され、1998年(平成10年)に「世界の歴史的灯台百選」に選ばれ、2013年(平成25年)には国の登録有形文化財に選ばれている。
特産品の島根ぶどう
品質に拘った島根県のぶどうの中でも特にデラウェアは、ハウス栽培として日本有数の生産量を誇っている。
その中でも、出雲大社で有名な大社町を中心に出雲平野ではぶどう栽培が盛んで、のどかな田園風景の中には、数多くのぶどうハウスが軒を並べている。
「種無しぶどう」として最も親しまれているデラウェアは、幼い頃によく食べたと懐かしむ人も多く、今では海外でも注目を集め出荷せれている。
そんな、美味しいぶどうが生産される町には、美味しいワインもある。
出雲大社の近くに有る「島根ワイナリー」では、ワインの製造工程を見学出来る施設があるので、出雲の歴史と文化を散策した後には、是非、日本ワインを堪能してみてはいかがだろうか。