メキシコのお酒といえばテキーラやビールのイメージで、ワインのイメージは薄く日本でもあまり知られていないのですが、実はメキシコのワイン生産は非常に長い歴史を持っています。
始まりは1524年、アステカ帝国を征服したエルナン・コルテスの命により、ミサに使うワインを生産するためにスペインからブドウの苗木とワイン生産の技術が持ち込まれたことまでさかのぼります。
メキシコの気候がブドウの栽培に相性が良かったことで、メキシコでのブドウ栽培は広がり、それまで荒地であった地域がブドウ畑のために開墾されていきました。
サンミゲルデアジェンデとグアナファトから始まった開墾は、北はバハカリフォルニア、南はプエブラなどへと拡大し、その後メキシコでのワイン生産の技術が発展すると、そのワインの味が高く評価されるようになりました。
しかし、16世紀後半にはスペインのワイン生産へ影響を及ぼすのではないかと考えられ、メキシコでのワイン生産が禁止されると、メキシコが独立を果たす1810年まで続きました。
現在、主なワインが生産されている地域は、バハカリフォルニア州、ケレタロ州、コアウィラ州、サカテカス州であり、最近ではアグアスカリエンテ州にも注目が集まっています。
中でも、メキシコワインの8割を生産しているバハカリフォルニア州には、70社ものワイナリーがあり一大産地となっています。
チチェン・イッツァ
メキシコのユカタン半島に残されたマヤ古典期最大の都市遺跡チチェン・イッツァは、パワースポットとしても注目されている世界遺産です。
広大なジャングルの中に戦士の神殿、天文台など、数多くの遺跡群が点在し、なかでも中央に聳える高さ約24m、9層からなる壮大なピラミッドのカスティージョは、4面に配された各91の階段に最上部の神殿を加えると階段の総数は「365」となり、全体が1年を表すマヤの暦となっています。
現在、世界標準とされる太陽暦(365.2422日)と、マヤ暦(365.2420日)を比較してもほとんど誤差が無く、マヤ人の高度な天文学知識と建築技術は驚嘆に値し、2007年に選定された新世界七不思議にチチェン・イッツァが選ばれています。
ソチミルコ
メキシコ・シティの南約20kmに位置する「Xochimilco(ソチミルコ)」は、スペイン語でソチミルコと発音されますが、ナワトル語ではショチミルコとなり「花畑のあるところ」を意味するようで、かつてはアステカ民族の湖上都市として栄え、メキシコのベネチアとも呼ばれています。
16世紀にスペイン軍に制圧された後、大規模な干拓が行われ、ヨーロッパのような街が築かれ、メキシコ・シティの中央広場(ソカロ)周辺の歴史風致地区とともに世界文化遺産に登録されています。
アステカ族が作った広大なソチミルコの運河を行き交う、カラフルで派手な装飾が施された小舟「トラヒネラ」が有名で、多くの観光客がトラヒネラやボートに乗って、イタリアのベネチアのように水路を楽しんでいます。
また、雑貨や花を売っているボート、陽気な音楽を奏でるマリアッチのボートなどとすれ違いながらのクルーズを楽しめます。
ティファナ
メキシコワインの産地、バハカリフォルニア州の最北端に位置し、アメリカはサンディエゴとの国境にある街ティファナは、メキシコの玄関口とも言われており、活気あるラテン文化を感じられる街並みが人気で、近年では美食・文化・芸術のブームにより観光都市として、注目を集めています。
1982年に設立された「ティファナ文化センター」は、幅広いプログラムを通じてメキシコの芸術や文化が学べる人気の施設で、通称「CECUT」とも呼ばれるアートセンターです。
年間100万人以上が訪れる館内には、現代美術の展示を始め、コンサートホール、水族館、植物園など、さまざまな施設が併設し、中でも、メキシコとアメリカの歴史を伝えるカリフォルニア美術館はおすすめです。
太平洋に広がる美しいビーチの「プラヤ デ ティファナ」は、ティファナ市内中心部から5キロメートルほどの場所にある、気軽にバカンス気分を満喫できる観光客に人気のスポットです。
ビーチでは陽気なラテンミュージックが流れる中、メキシコ料理の屋台で食事を楽しんだり、アメリカとの国境に沿った壁にはカラフルなウォールアートが施されていたり、フォトジェニックなスポットとしても有名です。
ハイシーズンでも比較的混雑が少なく、市内中心の喧騒から少し離れてのんびりと過ごしたい方にはおすすめです。
500年近い歴史をもち、ワイン大国であるスペインが恐れたメキシコワインを探しに、旅先としてメキシコのワイナリーを是非、加えてみてはいかがでしょうか。