日本では1980年代のイタリア料理ブームをきっかけに広く普及したズッキーニは、細長い見た目からキュウリの仲間に見えますが、実はウリ科カボチャ属に分類されるカボチャの一種です。
開花後5〜7日の未熟な状態で収穫され、最大の魅力は、クセのない淡白な味わいと、ナスに似た柔らかな食感で、近年は薄切りにして生でサラダやナムルにする食べ方も人気です。
皮や種が柔らかいため、むかずにそのまま調理でき、南フランスの煮込み料理「ラタトゥイユ」が有名ですが、油との相性が抜群なため、炒め物やフライ、天ぷらにするとジューシーさが引き立ちます。
栄養面では、むくみ解消に効果的なカリウムや、免疫力を高めるビタミンC、β-カロテンなどがバランスよく含まれていて、特にβ-カロテンは油と一緒に加熱することで吸収率が高まり、一般的なカボチャよりも低カロリーでヘルシーなため、健康や美容を意識する方にはおすすめの夏野菜です。

ズッキーニの歴史
16世紀にメキシコを中心とする中南米からヨーロッパへカボチャが伝わったことから始まとされ、コロンブスの新大陸発見以降、ヨーロッパに持ち込まれたカボチャ属の野菜は、各地の気候に合わせて交配や品種改良が繰り返されました。
その中で、現在のズッキーニの原型となる品種が誕生したのは19世紀後半のイタリア北部と言われています。
カボチャのように完熟させず、開花直後の「未熟な状態」で収穫して食べるという新しい食文化がここで定着し、イタリア語でカボチャを意味する「ズッカ(Zucca)」に、小さいものを表す接尾辞が付き、「ズッキーニ(Zucchini)」と名付けられたのが名前の由来です。
20世紀に入ると、イタリア系移民によってアメリカへ伝わり、1920年代にはカリフォルニア州を中心に栽培が本格化し、日本に食されるようになったのは比較的遅く、1970年代から1980年代にかけてです。
当時のイタリア料理(イタ飯)ブームや、フランス料理の「ラタトゥイユ」の人気上昇に伴い、一躍おなじみの夏野菜として日本の食卓に定着していきました。

健康と美容におすすめ
ズッキーニは、低カロリーでありながら、健康や美容に嬉しい栄養素をバランスよく含んでいて、代表的な成分には、体内の余分な塩分を排出し、むくみ解消や高血圧予防に役立つカリウムがあります。
また、抗酸化作用を持ち、免疫力の向上や美肌効果が期待できるビタミンCや、体内でビタミンAに変換されて皮膚や粘膜を丈夫に保つβ-カロテンも豊富に含まれていて、さらに、便秘解消や腸内環境の改善をサポートする食物繊維も含んでいます。
特にβ-カロテンは油に溶けやすい性質があるため、油を使って炒めたり揚げたりすることで、体内への吸収率が大幅に高まります。

ズッキーニの品種
定番の細長い緑色のほかにも、色や形、食感が異なる多彩な品種が存在し、最も普及している「緑果種」は、ほのかな苦味と緻密な果肉が特徴で、炒め物や煮込みに最適です。
一方、鮮やかな黄色が目を引く「黄果種」は、緑色に比べて皮が柔らかく、青臭さが控えめでクリーミーな甘みがあり、その色彩を活かして、生のまま薄切りにしてサラダやカルパッチョにする食べ方が人気です。
形状のバリエーションでは、コロンとした見た目が愛らしい「丸型(ボール型)」があり、肉厚でジューシーな食感をしていて、中身をくり抜いてひき肉やチーズを詰め、器ごとオーブンで焼き上げる料理によく映えます。
さらに、ヨーロッパで古くから愛されている高級食材に「花ズッキーニ」がありますが、これは実が大きくなる前の開花直後の若採りしたもので、花びらのなかにモッツァレラチーズなどを詰め、衣をつけて揚げるフリット(天ぷら)はイタリア料理の定番です。
このように、ズッキーニは品種ごとに異なる見た目や味わいを持ち、様々な調理法で食卓を彩ってくれます。

熱くなるこれからの季節に向けての栄養補給に、家庭の食卓の彩る食材として、様々な面で活躍してくれるズッキーニを、あなた流のアレンジレシピで堪能してみてはいかがでしょうか。



