スーパーの野菜売場には一年中並んでいて、身近な葉野菜として知られるキャベツですが、栄養価はあまり高くないイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
実際にはかなり多くの栄養素を含んでおり、ビタミンCやビタミンK、カルシウム、食物繊維のほか、うまみ成分であるグルタミン酸を含み、生でも加熱しても食べやすく、食物繊維による整腸作用も期待できる野菜です。
キャベツの原産地とその歴史
ギリシャやイタリアなどヨーロッパの大西洋・地中海沿岸が原産地と言われています。
栽培の歴史は古く、紀元前の古代ギリシャや古代ローマにおいてすでに栽培が行われていたようです。
当時は今のように丸く結球していない「ケール」のような葉キャベツだったようで、結球したものが登場するのは12~13世紀頃とされ、その後改良されて現在のような球体のキャベツになったと言われています。
江戸時代の本草学者であった貝原益軒(かいばら えきけん)によって編纂された「大和本草」(1709年刊行)には「紅夷菘(おらんだな)」についての記述があり、日本へは江戸時代にオランダより伝わったとされ、書には「味よし」と書かれていますが、渡来当時のものは結球していなかったようです。
明治時代に入ってから現在のような丸いキャベツが広く栽培されるようになり、一般の家庭に普及したのは第二次大戦以降と言われています。
収穫時期とその特徴
ところで出荷時期によってキャベツの種類が分類されていることをご存じでしたか。
夏に種をまき11~3月に食べごろを迎える冬キャベツ、秋ごろに種をまき4~6月に収穫する春キャベツ、そして、夏秋に収穫する夏秋キャベツです。
一年中食べられるキャベツですが、収穫時期によってどんな違いがあるのでしょうか。
冬キャベツは、全体の形は扁平で、内部は白く、葉はかたく巻かれているので、葉1枚1枚がしっかりしていて加熱しても煮崩れしにくいのが特徴です。
それに比べて春キャベツは、全体は丸い球形で内部の葉は黄緑色で巻きがゆるく、葉はやわらかめでみずみずしいので、サラダなどの生食に適しています。
春が旬と言われる理由
キャベツはいつの時期でも栄養素が豊富で、ビタミンC・ビタミンKなどのビタミン類や、キャベジンとも呼ばれるビタミンUが豊富で、胃の調子を整えることが期待できます。
また、腸内環境を整える食物繊維や、体内の余分な塩分を排出してくれるカリウム、美容にも効果のあると言われるカロテンも豊富に含まれています。
熱に弱い栄養素や水に溶け出してしまう栄養素もありますが、柔らかくて生でも食べることができる春キャベツは、そんな栄養素も余すことなく摂ることができるのです。
じっくりと長い間育てられた春キャベツは糖度が高く、甘味が強く、その甘味を活かしてサラダにするのも良いですし、味噌汁の具材としても良し、ロールキャベツやブイヤベースの具材にしても美味しいく食べられる食材です。
簡単に色々なレシピに利用できる万能な野菜として多くの人に食されています。
春キャベツの選ぶポイント
キャベツといえば、どっしりとした重さのあるものを選びたくなりますが、それは冬キャベツを選ぶ時のポイントで、春キャベツは芯の切り口ができるだけ小さいもの、葉の巻きが少なくふんわりとしているものが良いので、あまり身が詰まっていないものを選ぶと良いでしょう。