大崎駅東口の大崎ニューシティの裏手を流れる目黒川に掛かる「御成橋(おなりばし)」は、コンクリート色と赤色のコントラストと時折行われる橋からの放水が目を引く橋です。
江戸時代、将軍が鷹狩に行く際にこの橋を渡った時に、居木橋村の名主がここまで出迎え「将軍様の御成り」から、この橋の名がついたと云われています。
架け替えにより当時とは別の橋になってしまいましたが、古くは、御鷹野橋とも呼ばれていたこともあり、歴史ある場所であることから橋は朱塗りをイメージしたのか、赤でカラーリングされています。
夜間はライトアップされ、放水ともあわせ、目黒川沿いの橋としては、ひときわ異彩を放ち、ドラマのロケ地としても知られる都内の有名スポットになっています。
品川区では、御成橋を大崎副都心のシンボルとして、水と緑のネットワーク構想に基づき目黒川の水辺空間を生かした街づくりが進められてきました。
以前は、悪臭が漂い生物が棲めなかっら目黒川でしたが、下水道の普及とともに水質が改善されると、ボラやマハゼなどが戻り、今では多くのアユも遡上するようになりました。
2004年から開始された、目黒川の水質改善とイメージアップを兼ねた御成橋からの散水には、下水道局芝浦水再生センターの下水から生まれた「再生水」が使用されています。
再生水は、都市の貴重な水質源として、大崎地区のほか、汐留、品川、新宿、臨海地区のオフィスビルなどにも供給されています。
橋の周辺は再開発が進み、今どきの無機質なオフィスビルに大型複合施設や、アースカラーに彩られた完成したばかりの高層マンションが建ち、遊歩道やカラフルな遊具が並ぶ公園なども整備され、大都会の片隅に用意された憩いの空間からは子供たちの元気な笑い声が聞こえてきます。
人工的で自然を感じる事が難しい街にも、目黒川の水の流れが加わった時、意外にも「ふっと」落ち着ける時間と空間が生まれたような気にさせてくれます。
日頃、何気なく渡る橋にも、毎日通る道にも歴史ある風情が残っているでしょう。
是非この機会に、いつもの街を少し視点を変えて散策してみてはいかがでしょうか。