ART&CULTURE

山本能楽堂

約100年の歴史を持つ山本能楽堂では、能を「現代に生きる魅力的な芸能」として、その素晴らしさを多くの人々に広め未来に継承していくことに力を入れており、伝統的な能の定期公演に加え、外国人を含めた能に馴染みの薄い方にもその魅力を体感できるように多彩な活動が行われています。

 

 

その一環で、文化庁がインバウンドや国内観光需要の喚起を目的に進めた「日本博2.0」の委託型事業(令和6年度、令和7年度)として、「大阪に伝わる上方伝統芸能のブランド化によるインバウンド推進事業」が展開され、能楽をはじめ上方伝統芸能の魅力を伝える公演・イベントをインバウンド向けにさらに磨き上げ、大阪の歴史や文化と共に発信する活動を精力的に行い、大きな成果を収めています。

「日本博2.0」は、2025年日本国際博覧会(関西万博)の機運醸成やインバウンド需要の回復、国内観光需要の一層の喚起を目指しつつ、日本の美と心を体現する文化芸術の振興およびその多様かつ普遍的な魅力を発信することを目的とした、文化庁ならびに独立行政法人 日本芸術文化振興会が企画したプロジェクトです。

 

 

2年間の期間中に行われた公演・イベントの日数は全108日で、外国人2,228人を含む通算22,642人が訪れ、外国人の全公演・イベントの平均満足度は90%で、全体平均の82%に比べても非常に高い結果を出しました。

能楽は、内容が難しそうという先入観や、興味があっても初心者や外国人が気軽に楽しめるプログラムが少ないなど、一般的にハードルが高い芸能と認識されることが多いですが、今回の事業を通じて、対象者を考慮した工夫をすることで、インバウンド向けコンテンツとしても高い可能性を持つことがあらためて確認されました。

 

 

取組みの工夫として、従来の「日本人を主対象とし、外国人も共に楽しめる」構成から、「外国人を主対象とし、日本人も共に楽しめる」構成へと発想が転換されたこと、また、これまで分離されがちであった「鑑賞型の公演」と「体験型プログラム」を融合し、「公演+体験」という一体的な構成と多言語対応で提供したことで、上方伝統芸能への理解が深まり、満足度が大きく向上しました。

さらに、それらの公演を毎月複数回、継続的に開催することで、認知度と参加機会が向上し、外国人来場者数の増加につながり、結果として、複数の上方伝統芸能のオムニバス公演「上方伝統芸能ナイト」と体験型ワークショップ付き能公演「とくい能」における外国人比率は高まりました。

また令和7年度は、大阪・関西万博の開催にあわせて、万博会場内で上方伝統芸能のライブパフォーマンス公演や展示・体験イベントが数多く実施され、訪日外国人を含め、その場に居合わせた多くの人々に上方伝統芸能を観て体験してもらい、幅広い層の関心を喚起し認知が高められました。

 

 

山本能楽堂は、1927年(昭和2年)、観世流能楽師の山本博之によって創設され、約100年の歴史を持つ大阪で一番古い能楽堂です。

現在の施設は1950年に再建された3階建の木造建築で、市街地にありながら伝統的な能舞台を持つ能楽堂として2006年(平成18年)に「国登録有形文化財」に登録されています。

ユネスコ無形文化遺産にも認定される能楽を「現代に生きる魅力的な芸能」として次世代へ継承することに注力し、現代的な視点を取り入れたオリジナル演目のプロデュースや、誰でも楽しめる能楽体験や舞台裏見学、海外公演なども多数開催されています。

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