ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.9「ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト」

ヨーロッパで最も美しい地域の一つとして知られるフランスはアルザス地方。  

その中でも、魅力的でロマンチックな街並みで世界中の旅行者を夢の世界に誘ってくれるコルマール。  

その郊外のテュルクハイムに、世界のワイン専門誌から90点以上を1,000回以上獲得した銘醸ワイナリー「ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト」はある。 

  

高品質アルザスワインの家系  

アルザス地方ゲベールシュヴィールのフンブレヒト家は、1620年からワイン造りを手掛けてきた由緒ある家柄で、1959年にレオナール・フンブレヒト氏は、同じアルザス地方ヴィンツェンハイムの造り手であるジュヌヴィエーヴ・ツィント氏と合同で、テュルクハイムにドメーヌ・ツィント・フンブレヒトを設立した。  

現在41ヘクタールの自社畑を所有し、その中には、長い歴史と伝統を持つ、ランゲン・ド・タン クロ・サンテュルバンをはじめとする、名高い5つのグラン・クリュの畑が含まれている。  

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトは、偉大なアルザスワインの造り手として知られるだけでなく、ワイン・スペクテイター誌とロバート・パーカーが100点満点を与えた他、各誌が90点以上のスコアを計1,000回以上も与えている、世界で最も偉大なワイン生産者の一つである。  

  

フランス初のマスター・オブ・ワイン  

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトの経営者であり醸造家でもある12代目当主、オリヴィエ・フンブレヒト氏は、世界で最も難しいと言われるワイン資格のマスター・オブ・ワインを1989年に26歳の若さで取得した。  

これは、フランス人としては初の取得で、ワインメーカーとしては二人目という快挙であった。  

ワインの品質へのこだわりから、自社畑全てを、有機栽培よりもさらに厳しい規定に沿ったビオディナミ農法に転換し、醸造においては、柔らかな圧力で一晩かけてブドウを圧搾することで、品質の高い果汁を搾り、自生酵母だけを使って大樽での12ヶ月~18カ月と長期発酵を行うなど、極限まで品質を追求したワイン造りの手法により、アルザスが誇る至高のテロワールとブドウ品種の個性が最大限に表現された、純粋で凝縮した味わいのワインを生み出しいる。  

オリヴィエ・フンブレヒト氏の、アルザスワインとビオディナミ農法に対する情熱は、他のワイン生産者からも敬意を持って評価され、2002年からは国際ビオディナミ生産者組合会長となり、2011年からはアルザス・グラン・クリュ協会会長としても、ワイン産業全体の発展に寄与している。  

  

アルザスのテロワールとブドウの個性が生きる多彩なワイン  

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトの個性に富んだワインのポートフォリオの中でも、高貴なアルザスのテロワールが最大限に表現されているのが、グラン・クリュ・レンジだ。  

所有する5つのグラン・クリュの畑のテロワールに合わせて、最もふさわしいブドウ品種を選択し、栽培している。  

〇ランゲン・ド・タン クロ・サンテュルバン(タン村)  

ブドウ品種:ピノ・グリ、リースリング、ゲヴュルツトラミネール  

デボン紀・石炭紀の火山性岩と堆積性砂岩を含む貧しい土壌と真南向きの急勾配な斜面では、ブドウがゆっくりと成熟するため、凝縮度が高く偉大な熟成能力を持ったワインが生れる。  

〇ヘングスト(ヴィンツェンハイム村)  

ブドウ品種:ゲヴュルツトラミネール  

標高270~370mの東南向き緩斜面で、花崗岩質の砂岩、泥岩等を含む漸新世の混合土壌からは、力強くアルコール度数の高い長期熟成向きなワインが生れる。  

〇ブランド(テュルクハイム村)  

ブドウ品種:リースリング  

東南向き急斜面の花崗岩、黒色雲母等を含む土壌からは、フィネスとエレガンスを持った長期熟成能力のあるワインが生れる。  

〇ゴルデール(ゲベールシュヴィール村)  

ブドウ品種:ミュスカ、ゲヴュルツトラミネール  

標高250~350mの東から南東向き斜面で、海洋性石灰岩質の土壌からは、偉大なフィネスとボディを持ったワインが生れる。  

〇ソンメルベルグ(ニーダーモルシュヴィール村)  

ブドウ品種:リースリング。  

標高400mの真南向きの急斜面で、花崗岩質な土壌からは、上質な酸味と清涼感を感じる、ピュアでエレガントなワインが生れる。  

グラン・クリュ・レンジの他に、個性豊かな単一畑の特徴を楽しめるリュー・ディ・レンジ、石灰質土壌の特徴を余すところなく表現するカルケール・レンジなどがあり、どんなシチュエーションでも楽しめるアルザスワインが堪能できる。  

  

自社畑全てがビオディナミ認証を取得  

100%自社畑のブドウからワインを造るドメーヌ・ツィント・フンブレヒトは、1998年に、グラン・クリュを含む合計41ヘクタールの自社畑全てで、オーガニック認証(ECOCERT)を受け、2002年にはビオディナミ認証(BIODYVIN)を取得している。  

農薬も化学肥料も使わず、天体の影響などの精緻な自然の力を取り入れた農法により、大地の持つ力とテロワールの個性が最大限に発揮され、ワインの芳醇さと複雑性を高めている。  

  

味わいを示すエクスプレッション・インダイス  

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒトならではの嬉しい工夫の一つで、ワインの味わいを、辛口から甘口までの5段階の数字で示す「エクスプレッション・インダイス」(EXPRESSION INDICE)がラベルに記載されている。  

①醸造的にも味わい的にも辛口。  

②多少の残糖があっても、味わいは甘口でなく、人によっては余韻にまろやかさを感じる。  

③中程度の甘口。ワインが若い間は甘味を感じるが、熟成とともに甘さがなくなっていく。  

④甘口ワイン。  

⑤非常に甘口で、濃厚な質感があるワイン。  

これにより、ワインの味わいが一目で分かるようになっている。 

  

ドメーヌ・ツィント・フンブレヒト 公式サイト
http://www.zindhumbrecht.fr/en/