個性豊かで、フランスで最も美しいと言われる村や街が数多く点在し、独自の生活様式に根差した郷土色を大切に守り続けるアルザス地方。
ストラスブール
ヨーロッパの首都とも言われ、アルザス地方の中心都市であるストラスブールは、パリからTGVに乗ると2時間程で到着する、ドイツとの国境の近くに位置するダイナミックで若々しい街だ。
多くの美術館や劇場やコンサート・ホールがあり、様々なフェスティバルが開催される優れた文化都市で、その溌剌として活気あふれる街は、訪れる者を驚かせてくれる。
ストラスブール大聖堂の尖塔の下、プティット・フランス地区のイル川のほとりを恋人たちがそぞろ歩き、文化を愛する人々が美術館をめぐる。
食通も、歴史建造物の愛好家も、娯楽を愛する人も、あらゆる楽しみ方ができる街に、誰もがきっとストラスブールに恋するだろう。
イル川の中洲にある旧市街は「ストラスブールのグランド・イル」として、1988年にユネスコの世界遺産に登録されている。
登録された地区には、4つの古い教会やノートルダム大聖堂美術館、ロアン殿宮があり、これらを見学することで、中世から今日に至るまでのストラスブールの歴史を振り返ることができる。
アルザス地方の名物
アルザス地方には、互いに美味しさを競い合う様々な名物料理やお菓子がある。
塩漬けし発酵させたキャベツを、豚肉、ハムやソーセージもしくはサーモンなどの魚と共に、白ワインで煮込み盛り合わせた料理のシュークルート。
薄いパン生地に、ソテーしたベーコンと玉葱をクリームチーズで混ぜたものを乗せて炭火で焼きあげるアルザス風ピザのタルト・フランベは、専門店で親しい人と取り分けて食べるのがお勧め。
アルザス地方のクリスマスには、どこの家の食卓にも並ぶと言われるパン・デピス。
シナモンやシキミ、カルダモン、ジンジャーなど、数種類のスパイスとはちみつを合わせて作る焼菓子で、フォワ・グラと合わせて前菜にしたり、フルーツや紅茶、コーヒーなどと合わせてデザートにしたりと、味わい方も様々だ。
そんなパン・デピスの歴史は、民衆芸術博物館やパン・デピス宮殿で知ることができる。
伝説のアルザス・ワイン街道
南はターンから北はマーレンハイムまでの約170㎞の長さにわたり、ライン川沿いの平野や、ヴォージュ山脈の山々、そして古い歴史を持つアルザスのブドウ畑を縫うように通じる、世界でその名を知られたアルザス・ワイン街道。
街道沿いには、まるでロザリオの数珠のように、花が咲き乱れる絵のような村々やワイン造りで知られる街が続き、アルザス地方の土壌の豊かさと多様性を物語る感動の風景が広がっている。
ブドウ栽培とワイン造りは、アルザスの歴史と深く結びついて、風景や伝統、そして歴史遺産の中に、今も生き生きと息づいている。
ヴォージュ山脈が自然の障壁となって作り出す地面近くの乾いた気層や、ブドウ畑の南南東の日当たりと複雑な地層が、ブドウの栽培にとってユニークな環境を作り出し、ブドウがゆっくりと時間をかけて熟すことで、ワインのアロマが保たれるという。
こうした恵まれた自然環境も、人間が長い間かけて作り上げてきた伝統や、アルザス地方のワイン農家が培ってきた真摯でありながらも享楽主義的な文化がなければ、何も生み出さなかったことだろう。
フランスで最も古いワイン街道のひとつで、ワイン農家それぞれの個性豊かで独特な魅力に触れ、ブドウ畑博物館で、シルヴァネール、ピノ・ブラン、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、リースリング、ゲヴュルツトラミネールなどのブドウの品種の味と秘密について学んでみよう。
アルザス風の木組の家々
ストラスブールから南へ約70kmの所に位置するコルマール。
第二次世界大戦の激戦地のひとつとなったアルザス地方にありながら、奇跡的にも戦禍を免れたことで、木組みの家々の街並みや、石畳の道など中世からルネサンスにかけての面影が、今でも色濃く残っている。
細い運河に沿ってパステルカラーの家々が並ぶ一帯は、イタリアのヴェニスを彷彿とさせることから「プティット・ヴニーズ」とも呼ばれ、女性の人気が高く、家々の窓辺には花が飾られ、かわいらしい雰囲気が漂い、訪れる人々をメルヘンの世界に誘ってくれる。
スイスのバーゼルとも程近いコルマールは、アルザス・ワイン街道のほぼ中間に位置し、アルザス・ワインの首都とも呼ばれている。
世界的に有名なグルメとワイン、美しい村や街、そして温かいおもてなしの心が、あなたの休暇のために、最高で美しい環境を提供してくれるだろう。