ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.68「ウルグアイ:モンテビデオ」

ウルグアイは、南米で4番目のワイン生産量を誇り、フランス・マディラン地方原産のぶどう品種「タナ」を代名詞とする個性豊かな銘醸地として知られています。

大西洋やラプラタ川に面した緩やかな丘陵地帯が広がり、海洋性気候の恩恵を受けるウルグアイは、チリやアルゼンチンといった他の南米の産地とは異なり、ボルドーなどフランスの銘醸地に酷似した気候風土を持ち、この環境がワインに美しい酸味とエレガントな骨格をもたらします。

最大の特徴は、世界の作付面積の大部分を占めるタナ種で、本国フランスのタナが非常に力強く渋みが強いのに対し、ウルグアイの温暖な気候で育つタナは、完熟した黒系果実の凝縮感と、ベルベットのように滑らかなタンニンを併せ持つ洗練された味わいに仕上がり、地元のソウルフードである炭火焼き肉「アサード」との相性は抜群です。

近年、白ワインの評価も急上昇していて、特に沿岸部で造られる「アルバリーニョ」は、生き生きとした酸と豊かなミネラル感、華やかなアロマを持ち、世界中のワイン愛好家から注目を集めています。

伝統的な家族経営のワイナリーが多く、手作業による丁寧なワイン造りが今も受け継がれているウルグアイは、まだ見ぬワインの魅力に出会う事ができる注目の生産国です。

 

 

モンテビデオ

ウルグアイの国内最古のワイン産地でもある首都モンテビデオは、大西洋からの心地よい海風と肥沃なテロワール、そして小規模経営ならではの丁寧な手仕事が育む隠れた名酒を生み出しています。

洗練された都会の機能とラプラタ川沿いに広がる豊かな自然、そしてヨーロッパ調の美しい街並みが融合した魅力あふれる港町は、 南米の中でも比較的治安が安定しており、穏やかでリラックスした空気が街全体を包み込んでいます。

歴史と文化が息づく街歩きが最大の魅力で、レトロな建築が残る旧市街にはお洒落なカフェや美術館が点在し、歩くだけで異国情緒を満喫できます。

また、市民の憩いの場である全長20キロメートル以上の海岸遊歩道「ラ・ランブラ」では、人々が名物のマテ茶を片手に夕日を眺め、ゆったりとした時間を過ごしています。

旧港市場で豪快に焼かれる炭火焼き肉「アサード」は絶品で、地元の活気を肌で感じられ、世界一長いといわれる伝統的なカーニバルや、街角に流れるタンゴの心地よいリズムなど、五感で楽しめる独自の文化も根付いていて、都会の利便性を享受しながら、暮らすように優雅な旅ができる唯一無二の都市です。

 

 

インデペンデンシア広場

モンテビデオの中心に位置するインデペンデンシア広場(独立広場)は、ウルグアイで最も重要かつ象徴的な広場で、歴史ある旧市街と現代的な新市街を繋ぐ境界線にあり、街の観光の起点として多くの人々が訪れます。

広場の最大の見どころは、中央にそびえ立つウルグアイ建国の父「ホセ・ヘルバシオ・アルティガス将軍」の巨大なブロンズ騎馬像で、この像の地下には、24時間体制で衛兵に守られた将軍の霊廟が設けられており、厳かな空気が漂っています。

また、広場の周囲を囲む歴史的建築群も魅力の一つで、かつて南米一の高さを誇り、独特なアール・デコ様式が目を引く「サルボ宮殿」をはじめ、大統領府である「エステベス宮殿」や名門「ソリス劇場」、旧市街への入り口である「城壁の門」などが並び、新旧の文化が美しく融合しています。

美しいヤシの木が配された広場は、大統領の就任式などの公式行事が行われる国家の舞台であると同時に、市民や観光客がベンチでくつろぐ憩いの場としても親しまれています。

 

 

サルボ宮殿

インデペンデンシア広場に面して建つ「サルボ宮殿」は、街の象徴的な歴史的建造物で、イタリア系移民の実業家サルボ兄弟の依頼を受け、アルゼンチン人建築家マリオ・パランティのデザインにより1928年に建てられ、高さは約105メートルあり、完成当時は南米で最も高い高層ビルでした。

アール・デコ様式をベースに、ゴシック様式や新古典主義などを折衷的に取り入れたユニークで重厚な外観が特徴で、ダンテの「神曲」をモチーフにしたとも言われていて、もともとは劇場や高級ホテルを備えた複合施設として計画されましたが、現在は主にオフィスや分譲住宅として使用されています。

また、かつてこの地にあったカフェでタンゴの名曲「ラ・クンパルシータ」が初演された歴史にちなみ、館内には「タンゴ博物館」も併設され、1996年にはウルグアイの国家歴史的建造物に指定され、現在もガイドツアーで内部や最上階からの絶景を楽しむことができます。

 

 

カルメリタス教会

サルボ宮殿から北へ、プラド地区に位置する「カルメリタス教会」は、おとぎ話のお城を思わせる、ウルグアイで最も美しいネオ・ゴシック建築の傑作として知られ、1929年から25年の歳月をかけて、跣足カルメル会によって建設されました。

天高くそびえる鋭い尖塔や、ヨーロッパの大聖堂を彷彿とさせる緻密な彫刻、フライング・バットレスが描く複雑な外観は圧倒的な存在感を放ち、荘厳な内部に一歩入ると外の喧騒は消え去り、細部まで美しく施された木彫りの説教壇や、窓から差し込むステンドグラスの柔らかな光が幻想的で静謐な空間を作り出しています。

教会の近くには、広大なプラド公園や美しいバラ園、さらには日本庭園もあり、周辺の穏やかな散策とセットで訪れるのに最適で、旧市街からは少し離れていますが、ウルグアイの歴史と優れた建築美を体感できる隠れた名所として、多くの観光客を魅了しています。

 

 

ボデガ・サンタ・ロサ

1898年にフアン・バウティスタ・パサドール氏によって設立された、ウルグアイで最も古い歴史を持つ名門ワイナリーの一つ「ボデガ・サンタ・ロサ」は、現在4代目と5代目の家族に引き継がれ、125年以上にわたり伝統的なワイン造りの技法を守りながらも、現代的な醸造技術を積極的に導入しています。

最大の特徴は、南米大陸最大級の規模を誇る稼働中の地下セラーを擁している点で、ひんやりとした歴史ある地下空間には無数のオーク樽が並び、ワイナリーの代名詞である最高級のナチュラル・スパークリングワインや赤ワインが静かに熟成の時を重ねています。

ウルグアイのアイコン品種である力強い「タナ」をはじめ、フレッシュな果実味と大西洋の潮風を感じる洗練されたワインを手掛けており、国内外の愛好家から高く評価され、敷地内の博物館「カヴァ・ムセオ」を巡るツアーや、美しく盛り付けられた郷土料理とのマリアージュを楽しめるコースランチ付きの試飲体験が人気を集めています。

 

 

この機会に、歴史と文化が息づく街歩きを楽しみながら、ソウルフード「アサード」と相性抜群な、美味しいワインとの出会いの旅を計画してみてはいかがでしょうか。