ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.36「ドイツ:コブレンツ」

ドイツ中西部に位置するコブレンツは、「ドイツの父なる川」と呼ばれるライン川と、その支流「母なる川」モーゼル川の合流地点で、古くからヨーロッパの水上交通の要衝として発展してきたドイツで最も歴史ある都市の一つです

古くは古代ローマ人やドイツ騎士団が、その美しさをたたえたライン渓谷中流上部のリューデスハイム~コブレンツ間の約65kmは、世界遺産にも登録されています。

リューデスハイムから北上してきた旅人にとって、コブレンツは、ライン川の旅のゴールとされ、そこにはドイツならではの自然と人工物が調和した雄大な風景が待っています。

 

 

古い街並みが残されているコブレンツの旧市街は、パステルカラーの建物や、優美な教会など、明るくエレガントな印象をあたえ、かわいらしいショップやカフェもあり、ただ歩いているだけで心が弾みます。

 

 

ドイチェス・エック

ライン川とモーゼル川の合流点「ドイチェス・エック」は、「ドイツの角」という意味でドイツ騎士団の騎士たちによって名付けられ、コブレンツの代名詞として多くの旅行者が訪れます

23メートルの高さの台座の上には、高さ14メートルのドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の騎馬像が立っています。

1891年、ヴィルヘルム1世の孫であるヴィルヘルム2世によって建てられ、第二次世界大戦の爆撃で破壊されますが、1993年に再建され、現在はドイツの再統一と平和を象徴するモニュメントになっています。

 

 

川に突き出た三角州の上には、ドイツ国旗と各州の州旗が誇らしげにはためいていて、ここがドイツにとって特別な場所であることを実感できます。

 

 

エーレンブライトシュタイン城塞

要塞の歴史は、1000年頃に建てられた「エーレンシュタイン城」が始まりとされ、11世紀以降、時の所有者達によって増改築が繰り返されます。

城が要塞へと変貌するのは15世紀のこと、当時の所有者リヒャルト・フォン・グライフェンクラウは、城に堡塁や堀を築き大砲などの武器を設置し、敵の侵入を許さない巨大な要塞を作り上げたのです。

その後多くの戦禍を経験し、18世紀にはフランス革命軍に包囲されたのち爆破されてしまいますが、1817年から1828年にかけて国王ヴィルヘルム3世の指示によって再建されると、現存する要塞としてはヨーロッパ第2の規模を誇り、現代の街を見下ろしています。

 

 

ドイチェス・エックの近くにある乗り場からロープウェイに乗れば、簡単に城塞まで行くことができます

、城塞の有料エリア内にはドイチェス・エックを見渡す絶好のビュースポットも有るので、ロープウェイ乗車時に、ロープウェイと城塞のコンビネーションチケットを購入するとお得です。

 

 

コッヘム

コブレンツから電車50分ほどのモーゼル川沿いにある小さな町コッヘムは、古城とワインの町として知られています

日本での知名度は決して高くありませんが、中世の面影を残す古城に可愛らしい旧市街で、絵のような風景の数々に出会えるメルヘンの世界と名産のモーゼルワインは、わざわざ訪れる価値の高い町の一つです

コッヘムのあるモーゼル地方は、ローマ人がぶどう栽培の技術を大々的なかたちでもたらした、伝統的なリースリング栽培地として高い名声を誇るドイツで最も古い産地の一つで、ヨーロッパで最も急な65度の勾配をもつ「ブレマー カルモント」のような、急斜面のぶどう畑でも知られています。

 

 

ブドウ畑は川に面した南向きの斜面に位置していることが多く、直射日光だけでなく川からの反射光も取り入れられるので、日照量を確保できる上で川から発生する霧で寒さから畑が守られ土壌の性質と相俟って、味に張りのあるワインが造られています

 

是非この機会に、ドイツの歴史に触れながら新たなる白ワインとの出合いに、コブレンツモーゼル地方への旅行計画を立ててみてはいかがでしょうか。