ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.23「山形県:南陽市」

ラ・フランスやさくらんぼの名産地として有名な果物王国の山形県は、ぶどうの産地としても知られている。 

中でも南陽市のぶどう栽培の歴史は古く、市内の鳥上坂のぶどうの碑には、「ここは江戸時代初期にぶどう栽培が始まった山形県ぶどう発祥の地。」と記されている。 

その歴史は、市内の大洞鉱山が隆盛していた頃に、甲州の鉱夫が甲州ぶどうを持ち込んだ説と、出羽三山に通じるこの街道を通った修験者がぶどうを持ち込んだとする説の二つが伝えられている。 

明治になり欧州種や米国種の「デラウェア」などが入ってくると、産地として盛んになり、大正に入ると米より高い値が付くなど、ぶどう景気に沸いたと言われている。 

 

 

今では、山形県はぶどう生産量が全国3位となり、特に「デラウェア」は日本一の産地とも言われ、夏から秋頃に南陽市内の国道13号線を車で走ると、アーチ型のビニールハウスが連綿とつながり、なだらかな丘陵地が柔らかな日ざしに銀色に輝く一大ぶどう畑を見ることが出来る。 

 

県内最古の茅葺屋根建築

東北の伊勢と言われる「熊野大社」は、806年(大同元年)に平城天皇の勅命により再建されたと伝えられ、時の天皇である法皇の恩恵を受け、後に天台宗、真言宗、羽黒修験、神道の四派が加わり、熊野修験の霊場としても栄えたと言われている。 

 

 

また、その歴史には1601年(慶長6年)に上杉景勝が米沢30万石に減封されると、その年後の1604年(慶長9年)に直江兼続が大旦那として熊野大社の修復にあたっている。 

熊野大社に伝わる「一山古今日記」には、直江兼続の造営の棟札と伊達政宗の棟札が並べて書き上げられていて、歴史の奔流のなかで対立した二人の武将が熊野大社の歴史に登場し、伊達正宗の安堵状が熊野大社に残されている事はとても興味深い事のである。 

 

開湯926年を誇る温泉

赤湯温泉は、1093年(寛治七年)源義家の弟、源義綱に発見されたと伝えられていて、戦で傷ついた家臣たちをこの温泉で傷を癒させた際に、たちまち傷は治り、傷から出た血で湯が深紅に染まったことから「赤湯」と呼ばれるようになったと言われている。 

 

 

奥州街道の宿場町として栄えた湯仙郷の面影を残し、湯治場時代の細やかな人情が今もなお生きつづける湯の町で、泉質は含硫黄、ナトリウム、カルシウム、塩化物泉で「あったまりの湯」とも呼ばれている。 

 

日本さくらの名所100選

米沢盆地を一望する赤湯温泉の裏手に広がる烏帽子山公園は、樹齢120余年のソメイヨシノをはじめとする25種類約1000本の桜が咲き誇ることから「烏帽子山千本桜」とも呼ばれ、さくら名所100選にも選ばれている。 

 

 

大鳥居に映えるシダレザクラ「二代目放鳥目白桜」「全国桜名木二代目園」「桜句碑」「輪廻の桜」などが有名で、春の桜、夏の緑陰、秋の紅葉と四季の景観と眺望を楽しむことができ、残雪輝く吾妻連峰・飯豊朝日連峰を望む高台から見る大パノラマの景色は息をのむほどの美しさと言える。 

ぶどうの産地に美味しいワインあり、市内にあるワイナリーは勿論、北へ足を延ばせば蔵王周辺にもワイナリーが点在する。 

豊かな自然と四季折々の色鮮やかで悠久の歴史が息づく町で、湧き出る温泉と都会では味わえない、ぬくもりある故郷を感じながら、美味しいワインを探しに足を運んでみてはいかがだろうか。