ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.21「シャトー・デ・ジャック」

長熟ガメイの本質にこだわるボージョレ屈指の造り手  

ブルゴーニュの名門メゾン・ルイ・ジャドが1996年から所有する、ボージョレ地区の独立ワイナリーのシャトー・デ・ジャックは、ボージョレの王と称されるクリュ・ボージョレ最高峰の一つ、ムーラン・ア・ヴァンで最も名声を誇ってきた由緒あるワイナリーで、ムーラン・ア・ヴァンに程近いロマネシュ・トラン村に風格ある醸造所と邸宅を構える。  

1996年当初に受け継いだ27haのムーラン・ア・ヴァンをはじめ、現在はモルゴン、フルーリー、シェナ、またシャペル・ド・ガンシェにあるグラン・クロ・ド・ロワズ(シャルドネ品種を生産する畑)など、総面積約80haの自社畑を所有している。  

2015年、長らくシャトー・デ・ジャックを率いたギョーム・ド・カステルノーの後任として、それまでギョームの右腕を担っていたシリル・シルーズが栽培醸造責任者に就任した。  

シリルは、畑の個性を最大限に表現する長期熟成型ガメイワインのさらなる品質向上に尽力している。  

  

区画毎の徹底した栽培管理  

シャトー・デ・ジャックのワイン造りの哲学は、テロワールの特徴を最大限に引き出すために、この地域で特徴的な花崗岩土壌や畑のロケーションの特性を踏まえ小さな区画毎にきめ細やかな栽培管理を設定し、化学肥料や除草剤を使用せず、ゆっくりと時間をかけた発酵・熟成にあると言う。  

そのたゆまぬ努力は、驚くほど長熟なガメイワインを生み出している。  

畑は一部ビオディナミ、その他は全てリュット・レゾネが採用され、また、ボージョレ地区で主流となっている剪定方法ゴブレ仕立てから、コート・ドールで広く採用されているコルドン仕立てへの移行も進められている。  

剪定の手間は掛かるが、日光が当たりやすくなり果実がよりよく熟し、風通しが良いことで病害が減るなど利点が多いとされ、いずれは全自社畑をコルドン仕立てに移行する考えのようだ。  

  

昔ながらに拘る醸造法  

この数十年余り、ボージョレの醸造にはマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)が一般に用いられ、軽くフルーティーなワインが造られてきた。  

しかし、伝統的なボージョレは造りが異なり、コート・ドール地区のピノ・ノワールのようにボージョレ地区のガメイ品種は尊ばれ、除梗をし、開放桶に入れたブドウを櫂棒で突きながら、醸し発酵させていた。  

そのような旧来の造り方にこだわるボージョレの生産者は数えるほどに減ってしまったが、シャトー・デ・ジャックはその数少ない生産者の一つである。  

ブドウは健全な果実のみを注意深く選果・除梗し、発酵中は1日2回のルモンタージュと、ピジャージュを必要に応じて行い、時間をかけてじっくりと醸している。  

その後、シルキーで繊細なスタイルに仕上げるべくオークの小樽で熟成されたワインは、時としてピノ・ノワールと間違われるほど、繊細かつ芳醇な香りと味わいを放っている。  

  

最新設備で進化を続ける  

ルイ・ジャド傘下となって20年という節目を迎えた2016年に、シャトー・デ・ジャックではワイナリー施設の改革に着手している。  

新しい施設には、温度管理システムを備えた最新型コンクリートタンクやステンレスタンクが導入された。  

シャトー・デ・ジャックが目指しているのは決してワインのスタイルを変えることではなく、最新鋭の醸造設備を使ってテロワールが個々に持つその本質をさらに的確に表現することだと言う。  

さらに、2015ヴィンテージより、ラベルデザインが刷新され、ブドウの蔦の縁模様が省かれ、よりシンプルで洗練されたデザインとなってた。 

  

シャトー・デ・ジャック 公式サイト
http://www.chateau-des-jacques.fr/en/