ワイン de トリップ

ワイン de トリップ Vol.49「ハンガリー:ペーチ」

ハンガリー国内でも屈指の美しさと魅力のある街で知られるペーチは、長い歴史を誇る教会、大聖堂、初期キリスト教の記念碑があり、街の気候は温暖で地中海沿岸のような雰囲気と、ワインと果物の生産に最適な条件が揃っていて「ブドウとワインの街」とも呼ばれています。

街の中心にある広場でバロック様式の建造物や記念碑に歴史を感じ、その歴史を伝える宗教施設を見学した後は、この街自慢のワインを楽しみましょう。

 

 

セーチェーニ広場

ペーチの中心にある大きな広場は歴史豊かな建物に囲まれ、いつも大勢の人で賑わっていて観光のスタートに最適な場所の一つです。

街の社交と文化の中心地である美しいこの広場で、行き交う人々を眺めたり、周辺に建つ印象的な教会や博物館や記念碑を観ながらの散策は、地元住民に仲間入りした気分に慣れます。

 

 

広場には、ハンガリー軍の総司令官を務めたフニャディ・ヤーノシュの没後 500周年を記念して建てられた騎馬像に、14世紀にヨーロッパで大流行した疫病の黒死病と言われるペストの終息を神に感謝して建立されたバロック様式の三位一体像の記念碑が並びます。

 

 

広場を囲む数々の歴史的建造物や宗教施設の中には、ネオバロック様式の外観が美しい20世紀初頭に建てられた市庁舎や、広場の中心的存在として旧ガーズィ カスィム パシャ モスクが建ち、そのファサードは大部分が16世紀のオスマン帝国によって建設されています。

広場にある観光案内所では地域の観光名所の情報を入手したり、市内のガイド付きウォーキングツアーも手配できるので、ペーチ観光はこの中央広場から始めるのがお勧めです。

 

 

ペーチ大聖堂

その歴史は11世紀にまで遡る壮麗な大聖堂は、聖ペテロ大聖堂とも聖ペテロ聖パウロ大聖堂とも呼ばれ、様々な建築様式が混在し19世紀の有名な美術品も収められています。

11世紀に第2代国王オルセオロ・ペーテルが建てたされる初代の大聖堂は、16世紀のオスマン帝国の侵略によってモスクに改宗され、その後ハンガリーが主権を回復し1686年に再び教会へと復活しています。

 

 

大聖堂のネオロマネスク様式のファサードは、建築家のフリードリヒ・フォン・シュミットが19世紀後半に設計したもので、外観とは対照的に内装はゴシック様式をベースとして、壁や天井にはハンガリーの聖人と聖書の場面を描いた絵が飾られています。

4つの礼拝堂は地下聖堂とともに建物の最も古くから残っている部分で、北西側にある聖母礼拝堂と向かい側にある聖心礼拝堂には、19世紀の画家セーケイ・ベルタランとロッツ・カーロイの作品が飾られています。

他の作品や装飾を施した信者席は南東の角にあるムール礼拝堂で鑑賞でき、南西側の聖体礼拝堂にある16世紀の大理石の聖櫃は必見です。

 

 

東のボルドー

ハンガリーの首都ブダペストから、南へ電車を乗り継いで4時間ほど、ペーチからは40分ほどの所に位置するヴィラーニは、日本ではあまり知られていませんが、ワイン好きの間では高品質な赤ワインの生産地として知られ、「東のボルドー」とも呼ばれています。

 

 

ヴィラ―ニ丘陵の南向き斜面には25㎞にわたりブドウ畑が広がり、大昔の海底堆積物を含む石灰岩、ドロマイトの岩盤の上に黒土、褐色森林土、腐葉土や黄土が覆う複雑な土壌と、長い日照時間はブドウ栽培に最適な地域です。

人口2,500人ほどの小さな街は、クロアチアやセルビアとの国境近くにあり、ハンガリー国内、ドイツや近隣からの観光客が多く、路地の小さな教会や家々の庭は昔の絵画のようで、ノスタルジックな街並みが続きます。

 

 

この機会に、地中海沿岸のような雰囲気を持つ街で、美しい魅力あふれる街並みと豊かな歴史に触れ、美味しいいワインとの出会いの旅を、計画してみてはいかがでしょうか。