中世のカスティーリャ王国とレオン王国の中心地だった地域は、1978年に憲法で自治州制度が導入されると、カスティーリャ地方の一部とレオン地方が統合されカスティーリャ・イ・レオン州となった。
スペイン北西部に位置する山々に囲まれた高原地帯には、ヨーロッパでも最も豊かと言われる大自然と、ルネッサンス様式の教会やバロック様式の広場などの歴史的建造物が多く残り、訪れる人々を夢中にさせてくれる。
ブルゴス大聖堂
1221年、カスティーリャ国王フェルナンド3世と、ブルゴス司教マウリシオの命により建設が始まり、建設には多くのフランス人とドイツ人達が関わったが、200年ほどの長い建設中断もあり、着工からなっと3世紀以上も経った1567年に完成している。
聖母マリアに捧げられた大聖堂は「サンタ・マリア・デ・ブルゴス大聖堂」と呼ばれ、ゴシック様式の巨大でユニークな建築物としても有名だ。
フランボワイヤン様式を用いた燃え上がる炎のような装飾や、イスラムの銀細工の手法を取り入れたプラテレスコ様式などの見所満載。
入り口を入ると、ゴシック様式で良く見られる装飾のバラ窓から、降り注ぐ光が内部を美しく彩り、大聖堂内の23ある礼拝堂それぞれには、細やかな浮き彫りの装飾や天井のステンドグラスの美しさに圧倒される。
1984年、世界文化遺産に登録されている。
セゴビア旧市街と水道橋
スペインの首都マドリードから高速鉄道で30分ほどで着くセゴビアは、日帰りの観光地として人気が高く、旧市街と水道橋が1985年に世界文化遺産に登録されている。
旧市街は長く狭い高台に広がり、おとぎ話に出てきそうな美しい古城「アルカサル」や「大聖堂」、眼下にはカスティーリャと言われる赤い大地と素朴の景色が広がっている。
名所の一つ、古代ローマの「水道橋」は、急峻で独立した丘上にあった旧市街へ生活用水を供給するために、ローマ帝国が都市整備の一環で建設したものだ。
当時は、水道管に圧力をかけて給水するという技術が無く、旧市街よりも高い遠くの川を水源として、丘と同じ高さの水道橋を作り、その上を水路として水を供給していた。
幅が2.4メートルの細長い橋は、高さは地上30メートルもあり、その巨大さから「悪魔の橋」とも呼ばれ、スペインを代表するローマ時代の遺構である。
秘めた魅力の新興観光地
カスティーリャ・イ・レオンに数ある観光地の中で、意外と知られていないペニャフィエルは、州都バリャドリードの東60㎞ほどの所にある小さな町。
町の狭い通りを歩くとそこは、タイムマシンを使わずに過去に戻ることのできる場所、何世紀にもわたって継承された文化、芸術、伝統を垣間見ることができる。
春、秋のワイン祭りで中高年カップルは、リベラ・デル・ドゥエロの成熟した土地から生まれたワインに魅了され、名物料理の「レチャソ・アサード」仔羊のローストに舌鼓を打つ。
夏には闘牛に熱狂し、復活祭では天使が降臨すると言われる。
三つの谷が合流する地点の岩山には、天空の城「ペニャフィエル城」がそびえ建ち、その美しい姿を誇示するかのように眼下に見える町並みを見張っている。
現在は、城内にワインミュージアムがあり、レベラ・デル・ドゥエロのワインの歴史や製造プロセスなどを楽しく学ぶことが出来る。
歴史と文化、ワインにグルメ、そしてレジャー、ペニャフィエルの観光は急速に成長をしている。
この町はカスティーリャ・イ・レオンの中で、今後、最も大きな可能性を秘めた観光地の一つではないだろうか。
世界遺産の感動とカスティーリャ・イ・レオン各地自慢の伝統料理に、世界的な高級ワインを堪能する旅を計画してみてはいかがだろうか。