イタリア料理やスペイン料理に欠かせない食材のトマトですが、実は、南アメリカのアンデス山脈の高原地帯が原産で、ナス科ナス属の野菜だということをあまり知られていません。
トマトには、「赤茄子(あかなす)」「珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)」などの和名があるように、その文字を見るとナス科である事を教えてくれます。
赤くて丸い種類のトマトが日本では一般的ですが、何千種類もの品種がある言われるトマトには、赤以外にも赤黒いものや緑色の種類のものがあったり、細長い種類のものがあったりと、世界の食卓ではさまざまな種類のトマトが愛されています。
トマトの歴史
トマトの起源には諸説ありますが、中でも有力とされているのはペルーで発祥したトマトが10世紀頃にメキシコに伝わり、そこで栽培化が進んだという説です。
16世紀になってジャガイモと共にヨーロッパに渡りますが、当時は毒を持った植物と思われていて、当初は観賞用として栽培されていたようです。
その後、18世紀頃から食用として栽培が始まると、今では、世界各地でトマトなくしては料理ができないくらいに重要な食材となりました。
日本には17世紀中頃に渡来したと考えられていて、1709年に貝原益軒が「大和本草」という本の中で「唐ガキ」として紹介されたものが、トマトの文献として一番古いものと伝えられています。
日本で食用となったのは明治以降のことで、「西洋道中膝栗毛」などを書いた仮名垣魯文が「西洋料理通」という本に「蒸し赤なす製法」としてトマトの食べ方を紹介していて、これが日本での食利用第1号と考えられています。
国内トマトの大分類
トマトは、世界中には数え切れないくらい品種があると言われます。
国内で栽培されているだけでもかなり種類がありますが、それらを大きく3つに分類してみると、一つ目に、皮が薄くて無色透明な桃色系トマトは、甘味があり、クセが少なく、香りも弱めで、「桃太郎」などがこれに当たり、現在の市場に多く出回っているものがこの種類になります。
次に、皮にも色が付いていて厚い赤色系トマトは、酸味香り共に強めで、煮崩れしにくい事から、主に加工用として缶詰やケチャップ、料理用などにされることが多く、イタリアのサンマルツァーノ種などがこれになります。
最後は、ミニ系トマトになりますが、ミニトマトにも丸い形のものと長細い形のものがあり、色も赤、黄などバリエーションが豊富で、グリーントマトと呼ばれる、熟しても赤くならない品種もあるようです。
また、あえて未熟なグリーンの状態で収穫したトマトも出回っているようで、赤みがまったく無い青々としたトマトは、それはそれで違った持ち味があるので、調理の仕方によっては面白いかもしれません。
健康生活にも一役
全世界で約1億5千万トンも生産されているトマトの、生産量1位は人口の多い中国ですが、摂取量を見ると地中海諸国が群を抜いています。
その中でもオリーブオイルとトマトを使ったメニューが多い南イタリアでは、消化器系がんの発生率が世界平均の半分というデータがあえり、パスタなどを中心にトマトをメインとした緑黄色野菜、魚類などをバランスよく調理した料理が、がんの発症を少なくしている要因のひとつとも考えられています。
初夏と初冬が美味しい時期と言われるトマトを使った、健康生活にも繋げる料理で食卓を彩って、夏ぬ向けて健康な身体を作りましょう。