旬感食 to ナ美

旬感食 to ナ美 Vol.28「オクラ」

独特な歯ごたえとネバネバが特徴で、夏バテ防止にも良いとされるオクラは、クセの少ない味から子どもにも好まれる野菜といえるでしょう。

また、包丁でカットした断面が星型をしているので、色々な料理のトッピングとしても目を楽しませてくれます。

 

 

八百屋やスーパーの店頭に並んでいるオクラは、角が張った五角種のものが多いですが、大型で丸いものや果皮が赤いオクラもあります。

主な産地は、鹿児島県や高知県、沖縄県など暖かい地域で作られていて、冬から春にかけてはフィリピンやタイなどからの輸入ものが店頭に並びます。

 

 

オクラの栄養素

夏バテ予防に良いとされるオクラのネバネバ成分には、胃の粘膜を保護したり消化を助ける働きがあり、水溶性食物繊維ペクチンは、整腸作用やコレステロールの吸収を抑制する効果があるといわれています。

また、高血圧予防によいとされるカリウムや、エネルギーの代謝を助けるビオチンなども比較的多く含み、ほかにもβカロテンやカルシウム、葉酸なども適度に含んでいるので効率よく栄養を摂取することができるでしょう。

 

 

オクラの歴史

アフリカ北東部のエジプトやエチオピアなどがオクラの原産地と考えられていて、エジプトでは紀元前から栽培されていて、18世紀に入るとアメリカへ伝わり、19世紀になってから本格的に栽培が行われるようになったようです。

日本へは幕末にアメリカから入ってきましたが、青臭さやヌラヌラ感が敬遠され、他の野菜たちと違って普及しませんでした。

そんなオクラが普及した背景には、太平洋戦争で東南アジアの各地を転戦した日本人兵士たちが、飢餓にあえぐ自給生活の中で生育の旺盛なオクラに救われることがしばしばあったようです。

自然とオクラの味に親しんできた兵士たちが帰国後に、日本の風土にあった優良なオクラの栽培を定着させていったようです。

それまでは主に花を鑑賞するのが目的で、第二次大戦中は完熟した種子をコーヒー豆の代用にすることもあったそうです。

その後、オクラはカルシウムと鉄分を多く含むスタミナ食として愛好者が増え、1970年頃から消費量が増えると、子供も好む緑黄色野菜として、多くの一般家庭の食卓に並ぶようになりました。

 

 

近年では、家庭菜園でもオクラが人気で、フヨウやハイビスカスと同族のアオイ科の一年生植物として、夏には大輪の見事な黄色い花を咲かせる鑑賞用としても楽しまれ、花が終わって後には大きく育った実は食べ頃を迎えます。

生育旺盛で最盛期には摘んだ後からすぐに大きくな実を作り、鉢植えでも簡単に生産できるので、今年の夏はご自宅でも育ててみてはいかがでしょうか。

 

 

オクラは生のままでも食べられますが、オクラに塩を少しかけてこすり合わせ、うぶ毛を取ってからサッとゆでると舌触りがソフトで、ゆで上がりの色も良くなります。