旧約聖書に他の雑穀と混ぜてパンにするなど、安息日の食べ物として、人々に安らぎを与えた食材として記載され、北ヨーロッパの国々では、春の大切な食べものとして、ゆでたり、おかゆにしても食べられ、古くから親しまれてきた「そら豆」。
その歴史は古く、古代エジプトやギリシャで栽培されていた記録が残されていることから、人とは4000年にもなる古い付き合いということになります。
日本への伝来の時期は、奈良時代の聖武天皇の時に、シルクロードを経由して中国から来たという説がありますが、実際の記録としては、江戸時代の「多識篇」に「蚕豆」の名前で登場するのが最初と言われています。
多くの別名を持つ
一般的にそら豆を漢字で書くと「空豆」又は「蚕豆」となります。
「空豆」の由来は、莢が天を向いて実ることからと云われ、「蚕豆」は、莢が繭の形に似ているから、また、蚕が繭を作る時期においしくなることからの二つの説が有るようです。
また、そら豆をよく見るとお多福さんの顔に似ていることから「於多福豆」とも呼ばれたり、豆の大きさが一寸(約3㎝)ほどであることから「一寸豆」とも呼ばれています。
その他にも「四月豆」「五月豆」「大和豆」「唐豆」「夏豆」「がん豆」など、そら豆の別名には地域によって様々有るようです。
4000年の味を支える
中国料理には欠かせない万能調味料の一つとして多くの人に知られる「豆板醬」ですが、その主原料がそら豆である事を知っている人は少ないでしょう。
「豆板醤」は、そら豆を主原料として、唐辛子、ゴマ油、砂糖などを加えて発酵させ熟成させた中国の調味料で、四川料理の使われる代表的なお味噌です。
4000年の歴史を持つといわれている中国料理にそら豆は欠かせない食材だったのです。
そら豆の栄養
そら豆に含まれる主成分は、でん粉とたんぱく質ですが、ビタミンB1やB2、C、鉄分なども豊富に含まれる優秀な食材で、若返りの野菜とも言われています。
特に多く含まれるビタミンB2は、子供の成長を促して、健康な皮膚や髪を維持してくれる大事な栄養成分で、豆類の中でトップクラスです。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復にも役立ちます。
皮にはコレステロールを減らしてくれる食物繊維もたっぷり含まれるので皮ごと召し上がる事もおすすめします。