TOKYO BRIDGE WALK

TOKYO BRIDGE WALK Vol.16「萬年橋」

「萬年橋(まんねんばし)」は、江東区の小名木川に第一橋梁として架かる橋で、橋の東側には新小名木川水門が設置され、西側すぐで隅田川と合流する。

 

 

橋が架橋された年代は明らかではないが、1680年(延宝8年)の江戸地図には「元番所のはし」としての記載がある事がわかる

江戸時代初期、小名木川を航行する船荷を取り締まるために橋の北側に「川船番所」が置かれていたものの、明暦の大火後の江戸市街地の整備拡大に伴い、1661年(寛文元年)に中川口へと「川船番所」が移されたことで、付近が「元番所」と呼ばれるようになり「元番所のはし」と記載されているようである。

 

 

慶賀名と考えられる萬年橋が、いつの時代から呼称されるようになったかは不明である。

現在の橋は1930年(昭和5年)に架けらたもので、2009年(平成21年)からはライトアップが開始され、新たなランドマークとして江東区深川の夜を彩っている。

 

 

江戸時代には、富士山がきれいに見える名所として知られ、葛飾北斎の「富嶽三十六景」や歌川広重の「名所江戸百景」などにも描かれている。

 

葛飾北斎 富嶽三十六景「深川萬年橋下」

隅田川に浮かぶ船の中から橋を見上げるような構図は、橋の美しいカーブが印象的で、鮮やかな藍色が全体をすっきると見せてくれる。

江戸時代の深川は「川向こう」呼ばれ、新興地ゆえの自由な雰囲気があり、生き生きとしただったようで、この「深川萬年橋下」からも往来の人々で当時は大変賑わっていた事が見てとれる。

小名木川は江戸市内へ行徳の塩や、近郊で採れた米や野菜を船で運び込むための重要な運河であり、船の航行を妨げないように架けられた橋はいずれも橋脚が高くされていたが、中でも萬年橋は特に大きく高いアーチ状に架けられていたことから、その優美な姿が愛されていた。

 

松尾芭蕉

橋の北岸は松尾芭蕉が居を構えた場所としても知られ、隅田川と小名木川の合流地点近くの住居跡は芭蕉歴史庭園として整備され近隣に江東区芭蕉記念館もある

 

 

ケルンの眺め

隅田川のすぐ南側にある清洲橋は萬年橋たもとからの眺めがもっとも美しく見える角度とされ、清洲橋のモデルとなったドイツ・ケルンのライン川に架かる吊橋を彷彿させることから「ケルンの眺め」と呼ばれている。

 

 

橋周辺の墨田川両岸には「墨田川テラス(遊歩道)」が整備されていて、ゆっくり散歩も楽しめので、深川の歴史情緒を味わいに、一度散策に出かけてみてはいかがでしょうか。