イタリア・ルネサンスの中心地となったフィレンツェをはじめ、ピサ、シエナなど多くの古都があり、文化遺産や自然景観に恵まれたトスカーナ。
イタリア中部に位置し、世界でも有数のルネサンス時代の芸術作品や建築物が多く見られ、険しいアペニン山脈、ティレニア海に浮かぶエルバ島のビーチ、キャンティのオリーブ畑やブドウ園など、多彩な自然に多くの旅行者が魅了される。
京都の姉妹都市フィレンツェ
トスカーナの州都フィレンツェは、中世にはトスカーナの大部分を支配していたフィレンツェ共和国として毛織物業と金融業で繁栄していた。
15世紀になるとルネサンスの文化的な中心地となり、現在でもルネサンス時代の数多くの傑作と建築物の残る街として知られている。
ミケランジェロの「ダビデ像」を見られるアカデミア美術館、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やダヴィンチの「受胎告知」が展示されているウフィツィ美術館は、代表的な観光スポットとして有名だ。
1965年に風光明媚な景観と豊富な文化遺産などの共通点が多い京都と姉妹都市盟約が結ばれ、1982年には市街中心部が「フィレンツェ歴史地区」としてユネスコの世界遺産に登録された。
1986年には欧州文化首都にも選ばれている。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
外観の美しさから「花の聖母マリア」とも呼ばれる、フィレンツェを象徴するオレンジ色のドームが目印の「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」。
フィレンツェの大司教座聖堂で「ドゥオーモ(大聖堂)」「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」「ジョットの鐘楼」の3つの建物から構成され、全長153メートル、幅90メートル、高さ107メートル、クーポラ部分の内径43メートルと、聖堂としては世界で4番目に大きい建物と言われる。
白の大理石を基調として、ピンクや緑の大理石を使い、幾何学模様で飾られた大聖堂は、イタリア・ゴシック様式でデザインされ1296年から172年の歳月をかけて造られた。
クーポラとランターン(採光部)は初期のルネサンス、19世紀に完成したファザード部分はネオ・ゴシック様式と、複数の様式が混在している。
フィレンツェのシンボルにもなっている、大聖堂のオレンジ色のドームは、石積み建築でのドームとしては世界最大と言われ、晩期ゴシック建築から初期のルネサンス建築の代表として知られている。
世界遺産ヴァル・ドルチャ
フィレンツェの南東部120キロメートルの丘陵地に広がる一帯は、糸杉が連なり絵のような美しい景観づくりが大切にされ、その風景は、ルネサンスの時代も今も数多くの芸術家達に愛され、創作意欲をおおいに刺激している。
のどかな美しい牧歌的自然と農家や集落、街道の沿道にある修道院や宿などとも融合し、保護された景観は見事で、丘の上にたたずむ街ピエンツァからは、雄大なパノラマが見渡せる。
有名なワイン、ブルネッロが生まれる街モンタルチーノに、豊かな自然をもたらすアミアータ山とヴァル・ドルチャを一望できる街カスティリオーネ・ドルチャ。
バーニョ・ヴィニョーニという有名な温泉があり、癒しの空間からみるオルチャ渓谷の美しさはが必見の街サン・クイリコ・ドルチャ。
教皇ハドリアヌス4世が12世紀中頃に建造させた要塞の下にあるラディコファーニは、小さな街の中心に中世の雰囲気そのままが残る。
この5つの街とその全域は「ヴァル・ドルチャ美術・自然・文化公園」として世界遺産に登録され、街々を移動する間も旅行者の目を楽しませてくれる。
大地が造りだす美食
イタリア屈指のワインの宝庫トスカーナは、多くの郷土料理も有名で、トーストした田舎パンに特産物をのせたカナッペのクロスティーニ・アッラ・トスカーナやピリ辛トマトソースのモツ煮込みのトリッパ料理、トマト入りパン粥のパッパ・アル・ポモドーロなど、農耕、牧畜に適した豊かな大地の恵みから海の幸まで存分に楽しめる。
オリーブオイル、豆、猪や野兎肉、サラミ、チーズも豊富で、質素な料理にも豊かさを加えてくれる。
赤ワインの産地キャンティに、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノや、モンテ・プルチャーノ、ピサ周辺に広がるワイン街道では、ワイン好きにはたまらない数多くの有名ワインが生産され、トスカーナの食と一緒に楽しませてくれる。
この機会に、歴史的建造物と自然景観に抱かれて、世界が認めるイタリア・ワインと美味しい料理を堪能しにトスカーナの旅を計画してみてはいかがだろうか。