スペインのカタルーニャ最大の都市バルセロナから西へ車で1時間ほど走るとモハの村に着く。
その村に、社名にカバを使用できる歴史あるワイナリー「カバス・ヒル」はある。
クラフト・ブティック・ワイナリー
1887年に設立されたカバス・ヒルは、社名にカバ(Cava ※現在はD.O.Cavaになっているため、法律上使用は不可)を使用できる歴史あるワイナリー3社の内の1つで、その歴史は1761年にイギリスからジョセフ・ヒル氏が、モハの村に降り立った時から始まった。
ワインセラーを兼ね備えたカタルーニャ地方特有の建物マシアが1887年に建設され、「カバス・ヒル」の名でワイン生産が開始された。
現在ワインの貯蔵に使われているカバは、建築家アントニ・ポンズに、モダン主義的な外観の改装を依頼して、1924年に「タパスソート」と呼ばれる柔らかい岩石から掘り出された5つのギャラリーで構成された歴史あるワインセラーが建設され、今もなおそのままの姿で残されている。
12ヵ月以上の熟成が生み出す、繊細でフレッシュなカバ
カバス・ヒルが造りだすスパークリングワインのカバは、常に特別なものを作るために様々な工夫がされ、カバを生産するプロセスでは、ブドウの収穫時期が重要で8月から10月のブドウ畑から始まる。
良いカバを造るために、ブドウの品質を保証するブドウ栽培家との長きにわたる信頼関係を築くことで、ワインに質の高いブドウを使用することができる。
また、カバは法律上最低9ヵ月の熟成が義務付けられているのに対し、カバス・ヒルでは最低12ヵ月熟成させている。
「目指すものは、瓶内長期熟成によるきめ細かい泡立ちをもち、バランスがよく、繊細でフレッシュなカバを造ること」という哲学の元、造られるカバは、世界中で多くのファンに愛飲されている。
ガウディとモダニズムへのオマージュ
カバス・ヒルは、19世紀末から第一次世界大戦勃発にいたるまで、パリをはじめとする近代都市空間で文化と経済の繁栄が謳歌され、ベル・エポックと呼ばれた近代主義全盛期であった1887年に設立された。
そのラベルからは、バルセロナの街と偉大な建築家ガウディに関連した、美しく興味深い物語が垣間見える。
「キュヴェ1887」は、ユニークながらも伝統的なパッケージに仕上がり、同時に創業時のベル・エポック、モダニズム、アールデコ時代とブランドを結びつけることにもつながっている。
プレスティージュ・キュヴェである「キュヴェ・パノ」は、バルセロナの「グラシア大通り」に敷き詰められたタイル「パノ(巻貝の化石、ヒトデ、海藻のデザイン)」からインスピレーションを受けている。
ガウディによってデザインされた「パノ」は、ユニークで非常に美しく、洗練された近代主義的なスタイルを反映しており、そのデザインは「キュヴェ・パノ」のラベルとキャップシールに用いられている。
また、ヒル一族時代から存在する「パノ」ルームのパズル状の床も「パノ」で構成されていて、この部屋を歩くと、まるで時が止まっているかのような感覚に陥り、漂うワインの香りからは、歴史と文化が入り混じった豊かな香りが感じられる。
カバス・ヒル 公式サイト
http://cavashill.es/en/