子供の頃に、学校行事で行ったたけのこ掘り、ついつい欲張って、人よりも大きい物を採って帰ると、母親からは「育ち過ぎで硬くて料理に出来ない!」と言われた記憶がよみがえります。
春が旬なイネ科の「たけのこ」は、竹の地下茎から出てきた幼い茎で、日本の竹の種類は650種以上も有ると言われています。
その中でも、全国で広く食されているのが「孟宗竹(もうそうちく)」の地下茎から出てきた幼い茎が一般的なたけのことされています。
中国の江南地方が原産地とされる孟宗竹が日本に伝わったのは、1736年(元文元年)に薩摩藩主の島津吉貴が、当時の琉球経由で伝えられた孟宗竹を、鹿児島の磯公園に植えたのが最初とされ、その後、青森県以南の各地に広まっていったと言われています。
たけのこと竹の違い
たけのこの成長は著しく速く、孟宗竹で1日あたり最大伸長1.2mの記録があるそうで、たけのこは、収穫期を逃すとえぐ味が増して硬くなってしまいます。
イノシシやキツネなどの動物に食べられないように、たけのこには身を守る役割をはたす皮が有ります。
この皮が、たけのこと竹を分ける境界線と言われ、たけのこの背が伸びるにつれて皮は一枚一枚、自然とはがれ落ち、約30日程で全ての皮が落ちると竹になります。
「たけのこ」の栄養
たけのこは野菜の中でもたんぱく質が多く、甘み・うま味成分のアスパラギン酸・グルタミン酸などのアミノ酸が多いのが特徴です。また、カリウム、マンガンも豊富に含まれています。
大きいままで茹でるので、水溶性のカリウムの損失が少なくなり、たけのこは1食あたりの摂取量が比較的多いので、食物繊維、ナイアシン、パントテン酸、亜鉛、鉄など、ビタミン、ミネラルのよい供給源にもなります。
茹でたけのこにある白い粒は、アミノ酸の一種のチロシンが結晶化したもので、食べても害はありません。
また、茹でた時に出るアクの正体は、ホモゲンチジン酸とシュウ酸で、どちらも掘りとってから急速に増加していくのが確認されています。
土壌によって味やアクの量が異なると言われていて、アクはカルシウムの吸収を抑えてしまう作用があるため、アク抜きが必要になります。
おいしい「たけのこ」の見分け方
ラーメンにつきもののしなちくは、多くは台湾や東南アジアから輸入されているマチクやリョクチクで、切りとったたけのこをボイルもしくは蒸してから、塩漬けにして発酵させたものになります。
孟宗竹のたけのこでは、形がずんぐりで重みがあり、皮の色のツヤがよく、根元の切り口の断面が白く、みずみずしいもので、いぼが少なく、赤い斑点がないものが良いと言われています。
また、先端部分が開いていないもので、黄色がかっていて、黒く変色していないものが良く、緑色のものは、土から出て日が当たったものなので、えぐ味が強いので控えた方が良いでしょう。