りんごは、夏の終わりから秋にかけて成熟する果物として知られていますが、出荷のピークは1月下旬から2月中旬と言われていて、スーパーなどでは1年中目にすることができます。
これは、「CA貯蔵法」という技術でりんごを仮死状態にして長期保存しているからだそうです。
家庭では、おいしく食べられる期間はせいぜい1~2週間程度ですが、りんごの呼吸を制御するCA貯蔵法では、鮮度を保ったまま半年以上も保存できるようです。
八千年の歴史
りんごの歴史は古く、小アジア(現在のトルコ共和国)に、農耕民族の大集落ができた紀元前6000年ごろが始まりと言われていて、当時の物と思われる炭化したえいんごがトルコで発掘されています。
野生種のりんごの採集から、紀元前2000年ごろには人為的な栽培が始まったと言われています。
紀元前1300年にはエジプト、ナイル川デルタ地帯に果樹園が広がり、ギリシャ時代にはりんごの野生種と栽培種を区別した、接ぎ木で繁殖させる方法が記録として残されていて、ローマ時代になるとりんごの品種が載った本が出版されるなど、栽培が盛んになったようです。
16~17世紀ごろにはヨーロッパ各地にりんご栽培が広まり、その後、アメリカに伝わると多くの品種改良が行われました。
日本の150年
日本には、平安時代の中頃に中国から伝わったとされていて、「和りんご」とか「地りんご」と呼ばれる粒の小さな野生種の名が記録されています。
北信濃(長野県)では「高坂りんご」と呼ばれ、お盆には善光寺で売られ、仏前に供えられていたようです。
主に観賞用とされていたりんごも、江戸時代になるとお菓子として食べられるようになりますが、味は現在のように甘いものではなく酸味が強かったようです。
1871年(明治4年)、北海道の開拓使がアメリカから75品種の苗木を持ち帰ったことから日本でも栽培が本格的にスタートします。
内務省勧業寮試験場が中心となって苗木を全国に配布、試作が行われると、りんごは比較的冷涼な地域に適していることが分かり、信州や東北地方が産地となり栽培が盛んになったようです。
医者いらずな果物
りんごは、さまざまな病気の予防となる多くの栄養素を含んでいます。
水溶性食物繊維のペクチンは、消化を促進させ、胃酸のバランスを整えてくれるので便秘や下痢に良いとされ、またアレルギー性疾患の予防にも有効と言われています。
さらにポリフェノールの一種のカテキンには、抗酸化作用があり、高血圧やがん予防、老化抑制に期待でき、同じくポリフェノールの一種であるケルセチンには、動脈硬化やがん予防に有効と言われています。
日本に約2,000種類、世界ではなんと約15,000種類もの品種があるりんご。
「ふじ」や黄系の「王林」「シナノゴールド」、赤系の「ジョナゴールド」など、日本のりんごは世界でも高く評価されています。