荒川の河口から上流へ約9㎞の地点に架かる「四ツ木橋(よつぎばし)」は、左岸の葛飾区四ツ木三丁目と、右岸の墨田区八広六丁目を結ぶ、全長約507m、幅約17mの鋼カンチレバーランガー桁を主径間に持つ単純鋼鈑桁橋で、現在の橋は昭和27年(1952年)に架橋されました。
橋の左岸側は20mほどの中堤を挟み、綾瀬川に架かる全長約55mの四ツ木小橋に接続し、災害時に防災拠点等に緊急輸送を行なうための、東京都の特定緊急輸送道路に指定されています。

橋の歴史は、荒川放水路開削に伴い全長約451mのRC橋脚を持つ木製の方杖桁橋として、大正11年6月に架橋されました。
位置は現在の国道6号ではなく、下流の京成押上線荒川橋梁のすぐ近くの、東京都道465号深川吾嬬町線の延長上にあり、木橋ながら旧四ツ木橋は戦車も通すことができたようです。
昭和10年頃に、千住大橋、旧六郷橋などの橋梁設計に携わった増田淳によって、新しい橋に関する計算書が作られていて、現在の国道6号線の近代的な橋をかける計画は早くからあったようです。
実際に工事も、昭和14年から行われますが、戦況の悪化により総工程の70パーセントを残して工事は中断されますが、戦後、昭和25年に工事が再開され、昭和27年7月に現在の四ツ木橋が完成しています。
当時は、隣接して旧四ツ木橋も存在していたため、新四ツ木橋と呼ばれていました。
旧四ツ木橋は昭和44年に解体され、代わりに約100m下流に「木根川橋(きねがわばし)」が架橋されています。

荒川河川敷
荒川小菅緑地公園を起点に、荒川上流の千住新橋から下流の平井大橋までの河川敷は、信号も無くフラットで走りやすい全長14.5㎞のランニングコースとして知られ、ランニング初心者の方には、堀切橋で折り返す6.2㎞コースと、四ツ木橋で折り返す9.1㎞のコースも設定できます。
ランニングコース近くの堀切、四ツ木周辺には多くの銭湯が点在していて、走った後には汗を流しゆっくりと身体を休めることができるので、葛飾区の区民ランナーには聖地とも云われています。

渋江白髭神社
葛飾区東四つ木に鎮座する、旧西葛西領澁江村の鎮守の神さまで、氏子区域は四ツ木・東四ツ木・東立石にまたがり、猿田彦命をご祭神とし、合殿として大己貴命、建御名方命を奉祀し、渋江邑草創当初より伝わる古社で、霊験あらたかな社として近郷近在からも篤い崇敬を集めてきました。
創建年代は詳らかではありませんが、旧別当清宝山観正寺が僧円覚によって延徳3年(1491年)に建立されているので、創建はそれ以前と考えられています。
「渋江」の地名は、応永5年(1398年)の「葛西御厨田数注文写」に記載があり、当地の豪族であった葛西清重が平安末期に伊勢神宮に寄進した葛西厨33郷のひとつと考えられていて、神社の創建もこの時代までさかのぼると思われます。
昭和40年の住居表示変更により、「渋江」の地名は四つ木一丁目~三丁目、東四つ木一丁目~四丁目、東立石三丁目に改められましたが、いまも渋江地区一帯の氏子の篤い崇敬により祭礼諸行事が賑やかに行われています。

東四つ木避難橋
四ツ木橋の下流約900mの所に架かる「東四つ木避難橋」は、荒川左岸を平行して流れる綾瀬川に架かる黄色いアーチ橋で、四ツ木地区住民の災害時の避難場所である荒川中央堤防への避難橋として造られました。
普段から人道橋として解放されていますのでいつでも渡る事が可能で、東京スカイツリーを背景に素敵な写真が撮れると、隠れた撮影スポットとしても知られています。
河川敷の遊歩道からは、頭上を走る首都高速中央環状線をバックにした景色や、対岸の土手を行き交う人たちの生活感溢れる風景に、夕暮れ時には夕陽を逆光に幻想的な橋のシルエットの写真まで、色々な1枚を撮ることができます。

堀切菖蒲園
園の始まりは、室町時代、堀切村の地頭久保寺胤夫が家臣の宮田将監に命じ、陸奥国郡山の安積沼から花菖蒲を取り寄せて栽培を始めた説と、江戸時代、百姓の小高伊左衛門が趣味で各地の花菖蒲を集めて庭で栽培したのが始まりとする説の二説あるようで、江戸時代には「江戸百景」に数えられ、名所案内や紀行文、鈴木春信・歌川広重の浮世絵に登場しています。
戦前まで、堀切には武蔵園・吉野園・観花園・小高園・堀切園などの菖蒲園がありましたが、昭和34年に東京都が堀切園を購入し、都立堀切菖蒲園として開園しました。
昭和50年に葛飾区に移管され、今では5月下旬から6月中旬に花菖蒲が見頃となる花菖蒲園として葛飾区の観光名所の一つとなり、その他には、梅、藤、ロウバイ、トキワマンサクなど四季折々の花を観ることができます。

四ツ木橋周辺には、東四つ木避難橋をはじめとする東京スカイツリーをバックに絶景が撮影できるスポットが沢山あり、夕陽を背景にした荒川土手の日常の風景には風情を感じることができます。

日頃、何気なく渡る橋にも、毎日通る道にも、その街の歴史や風情を見に、是非この機会に、いつもの街を少し視点を変えて散策してみてはいかがでしょうか。



