ART&CULTURE

ギャルリーためなが京都

9月28日(土)11月4日(月・祝)まで「工芸から派生した芸術」と題しました展覧会が「ギャルリーためなが京都」で開催されます

本展は、今年で14回目を迎える現代アートの祭典「ニュイ・ブランシュKYOTO」の一環として企画されたもので、日本の伝統工芸である漆芸に焦点を当て、五名の漆作家による芸術作品紹介されます。

 

「枝羽-梢の華-」作:村本 真吾

H34㎝×W80㎝×D32㎝

 

村本 真吾Shingo MURAMOTO

1970年石川県に生まれ東京藝術大学大学院工学科漆芸専攻。

奈良時代より伝えられる脱活乾漆技法という仏像制作の技法に精通し、その技法と竹・漆の素材が相まって、艶やかな表面、美しい形状そして宙を浮遊するかのような軽やかさを作品に融合する。

竹をしならせながら布を張り、成形し、漆を施すと、偶然と必然が調和し美しい曲面に、幾重にも塗り重ねた漆は磨かれるほどに艶やかで瑞々しい光沢を放ち、豊かな表情が生まれる。

枝葉などの自然界の姿に触発された造形を旨とし、自然と人間の共存・共生の表現を探求している。

 

「inherent elements II」作:松島 さくら子

H135㎝×W78㎝×D7㎝

 

松島 さくら子Sakurako MATSUSHIMA

1965年東京都に生まれ東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。

大学の卒業制作から本格的にボディジュエリーに取り組み、その後そこから派生した壁面作品やオブジェへと創作の幅を広げている。

作品は、宇宙や自然の要素からインスピレーションを受けた曲線を特徴とし、乾漆という伝統的な技法を使い、麻布を漆で塗り重ねた乾漆の薄い板を使い自由でダイナミックな造形を生み出している

「身を飾る心」に向き合いボディジュエリーの創作に注力するかたわら、未知の漆文化を求めて東アジアから東南アジアの奥地へと旅をし、漆文化の探究を続けている。

 

「粧う」作:五月女 晴佳

H60㎝×W60㎝×D15㎝

 

五月女 晴佳Haruka SŌTOME    

1987年栃木県に生まれ東北芸術工科大学修士課程芸術文化専攻工芸領域修了。

2023年金沢卯辰山工芸工房を修了後は、漆を素材に唇をモチーフにした作品を主に制作し、口紅が個性や美しさを表現しつつ唇を保護するように、漆も表面を飾り保護するこの共通の性質に注目することで見えてくる、漆と化粧の「美しく粧う」「覆い隠す」という二面性に親和性を感じ魅かれている。

化粧が人に心の鎧を与えるように、漆を用いて内面の葛藤や欲望を表現し、表面の美しさと内面的な複雑さを探求する作品を創り上げ2023年モード学園のCMのメインビジュアルに作品が起用されている。

 

「Koimari 10」作:柞磨 祥子

H5.5㎝×W36㎝×D6㎝

 

柞磨 祥子Shoko TARUMA

1991年広島県生まれ京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻(漆工)修了。

日本人は古来より自然を慈しみながら「闇」の中に美を見いだす感性を培う、この美意識と漆の黒の深みに魅せられた柞磨は、液体のように自由な形態と闇に溶け合う「陰翳」の融和を現代彫刻で表現している。

重要文化財である狩野派の襖絵がある部屋に作品を展示した際には、仄暗さの中で漆の光沢の魅力と存在感がより一層増すことを感じさせていた。

最近では、伊万里や景徳鎮の磁器と漆を調和させ、日本と東アジアの古き良きものを自らの作風に取り込んだ作品も手掛けている。

 

「Powerful」作:隗 楠

H67㎝×W74㎝×D60㎝

 

隗 楠WEI Nan

1994年中国北京市に生まれ京都市立芸術大学大学院美術研究科漆工領域博士後期課程修了。

素材に皮革を用いて、造形の独自性や生命力など漆芸の新たな可能性を引き出している。

作品は、革を引っ張り、皺を付ける制作過程の中で出会う偶発的な美しい曲面を漆で留めることにより、異彩を放つ豊かな造形を生み出し、色は漆を代表する艶があり奥深い黒とパワフルな赤を基調としている。

革のしなやかさと漆の輝きを活かし、自然の美しさや力強さを作品に込め、花の開花や水の動きなど自然の神秘とエネルギーを表現している。

 

工芸から派生した芸術ORIGINES ARTISANALES)」

会期20249月28日)~11月4日月・祝
会場ギャルリーためなが京都
時間11:0019:00(会期中無休)
HPhttps://www.tamenaga.com/ja/