ギャルリーためなが京都では、毎年好評の「新京都(いまきょうと)」展を11月15日(土)から12月14日(日)まで開催されます。
本展は、文化の中心地として古くから歴史を刻み続ける京都という場所から、京都にゆかりのある日本の若手作家の魅力を発信し、千年先まで作品を残していきたいという想いを込めて2022年にスタートした企画展です。
第4回となる2025年度は、Kalua、小松本結、能條雅由、薬師川千晴の4名の作家の作品が出品されます。
生と死をテーマに花が持つ生命力と儚さを、平和への願いを込めて表現するKalua、人工鉱石(デトロイトアゲート)の模様を自身の経験に重ね合わせ、自己の在り方を問う小松本結、蜃気楼やオーロラを思わせる光と影を銀箔で描き、潜在意識に眠る自然像を呼び起こす能條雅由、異なる色が交わりながらも独立して共存する、豊かな色彩表現を両手両足で描き出す薬師川千晴、4名の若き日本人作家が描く「現代(いま)」が今秋を彩ります。
Kalua
2000年京都府に生まれ、東京藝術大学美術学部工芸科を中退し、現在は慶應義塾大学通信過程に在学中。
「生と死」を根源的なテーマに添え、そのものの持つ生命力や儚さをアクリル絵の具で表現しているアーティストです。
2024年に発表した「Flower」シリーズでは平和への願いを、花というモチーフに込めて制作され、日々起こる悲惨な事件に対するやりきれない思いや、やり場のない感情が少しでも救われるようにという願いを込めた代表的なシリーズで、その他、代表作に愛犬を描いた「Jake」があります。
小松本 結〈Yui KOMATSUMOTO〉
1993年三重県に生まれ、京都芸術大学大学院(旧京都造形芸術大学大学院)美術工芸領域油画(版画)専攻修了。
SNSの普及により、他者の容姿や生活が日常的に可視化される現代社会においては、自他の境界が曖昧になり、自身の価値やイメージまでもが他者の視線や評価に左右されがちで、そうした時代の中で、小松本は心の奥底に潜む不安や葛藤を描くことを試みています。
画中の層状の模様は、「垂らし込み」と呼ばれる油彩とアクリル絵の具の技法によって生み出されており、アメリカ・デトロイトの自動車工場で偶然誕生した人工鉱石「デトロイトアゲート」をモチーフとしています。
瑪瑙にも似たその模様は、小松本自身の内面に幾重にも積み重なっている「感情の層」を象徴していて、こうして感情の揺らぎを繊細に描きながら、小松本の世界は日々移ろう感情に翻弄されながらも、自らの姿勢を整え、「今日」を生き抜く人々の静かながらも力強い意思を見るものに伝えています。
能條 雅由〈Masayoshi NOJO〉
1989年神奈川県に生まれ、2015年京都造形芸術大学大学院(旧京都造形芸術大学大学院)日本画専攻修士課程修了。
現代的な視覚言語と日本の伝統を融合させた独自の緻密な技法を用い、記憶と時の流れをテーマとした表現を探求していて、自身が撮影した写真のイメージを解体・再構成することで、写真が本来持つ事実性や具体性を希薄にし、誰もがどこかで見たことのあるような情景を生み出しています。
能條独自のこの情景は鑑賞者の中に深く眠る記憶と結びつき、既視感を呼び起こし、鑑賞者は作品を通して、時間感覚と記憶との関係性を視覚的に体験し、画面全体に何層にも施された銀箔は、酒井抱一を祖とする江戸琳派を想起させるが、その表情は天候や時間帯に敏感に反応し、刻一刻と変化します。
環境によって表情が移ろう能條の作品は、箔の使用によって現象としての特性が更に際立ち、あたかも蜃気楼(Mirage)を見ているかのような印象を鑑賞者に与えます。
薬師川 千晴〈Chiharu YAKUSHIGAWA〉
1989年滋賀県に生まれ、京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程芸術専攻修了。
身体を介した様々な独自の絵画を展開し、鮮烈な色彩感とストロークで、見るものを魅了する絵画を制作していて、両手両足に直接絵具をつけ身体で描く「rub」シリーズでは、古典技法である練り込みテンペラを用いた自作の顔料絵具で描くことで、色と色の境目は自己と他者や異なるもの同士が互いに受け入れ合う境界線として立ち現れます。
また、SNSの発達した社会における自己と他者の関係性について、相手の領域に入る前の合図であるノックという行為に着目した「knock」シリーズを展開するなど、作品ごとに様々な表現方法を選択し発表を続けています。
新京都(いまきょうと)-古都から千年先へ-

会期:2025年11月15日(土)~12月14日(日)
会場:ギャルリーためなが京都
京都市東山区上堀詰町265-7
TEL 075-532-3001
時間:11:00~19:00(会期中無休)
HP:https://www.tamenaga.com/
京都へは国内外から多くの人が日本の文化・歴史に触れるために訪れますが、是非この機会に、現代の若く才能ある日本人作家たちにも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。
彼らの作品が千年後には京都の何処かで輝いているかもしれません。そんな想いを心に留めながら、現代の芸術を鑑賞できるのは、京都ならではの醍醐味で、三十三間堂や国立博物館をご覧になられたあとは、「いま」を生きる彼らの瑞々しい感性を堪能してみてください。



