日本では季節ごとにさまざまなフルーツが店頭を彩ってくれます。
カラフルな果物の中では地味な存在のですが、ビタミンCが豊富でさわやかな甘酸っぱさが人気の「キウイフルーツ」もその一つです。
ニュージーランド産をはじめ、アメリカ産やチリ産のものが、年間を通して輸入されているので「キウイフルーツは外国産の果物」という印象を持つ人も多く、いつでも見かける果物という印象があり旬を感じづらい果物です。
近年では、国産のキウイフルーツも生産量が増えていて、国産のキウイフルーツをメインに売り場に並べるお店も増えています。
国産のキウイフルーツは海外産と比べて味のバラつきが少なく、甘さと酸味のバランスが優れているものが多いのが魅力ですが、旬の時期が限られているうえ、食べ頃を見極めないと美味しく楽しむことができません。
追熟して食べ頃に
洋ナシなどと同様に追熟するキウイフルーツは、収穫したばかりのものはでん粉が糖化しておらず甘味が少なく酸味が強いため美味しくないので、収穫してから一定期間追熟させたのちに出荷されるものがほとんどです。
果実が追熟するためにはエチレンの生成が必要なのですが、キウイフルーツは自らでエチレンを生成しにくいため、単独でそのままおいておくと追熟せずしぼんで傷んでしまうこともあります。
キウイフルーツはりんごと一緒に保存すると良いと言いますが、これはりんごがエチレンを発散するのを利用するためです。
近年は収穫後にエチレン処理をしてから出荷されるものが多く、買ってすぐにでも美味しい状態のものも増えています。
キウイフルーツの歴史
原産地は中国の揚子江沿岸とされ、現地では「ヤンタオ」と呼ばれていて中国ではかなり昔から存在していましたが、栽培はほとんど行われていなかったようです。
1904年、ニュージーランドにある女子高校の校長イザベル・フレイザー氏がヤンタオの種を中国より持ち帰り、植物学者のアレキサンダー・アリソン氏が栽培を始め、実った果実を「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ぶようになったのがニュージーランドでの発祥とされています。
1924年には、種苗生産業を営んでいたヘイワード・ライト氏が緑色の果肉の品種を開発すると、これが商業栽培され今日広く流通しているキウイフルーツのルーツと言われています。
その後50年ほどで、ニュージーランドのキウイフルーツは生産量が安定し、輸出されるようになると、外国にアピールするため「チャイニーズ・グーズベリー」を改め「キウイフルーツ」と命名されたそうです。
名前の由来は、茶色の粗毛で覆われた果実がニュージランドの国鳥であるキウイバードの外観と類似しているからと言われていますが、正式な記述は残っていません。
キウイはニュージーランド人を表す言葉とも言われ「ニュージーランドのフルーツ」という意味で付けられた名前かもしれません。
日本に登場したのは1960年代で、ベジタブルフルーツの一種として輸入が始まり、日本でも比較的栽培しやすいことから品種改良や新しい品種の育成が行われ、九州から東北まで広く栽培されるようになりました。
国産のキウイフルーツが多く出回るのは12月頃から4月頃までで、食べて美味しい旬の時期は2月から3月にかけてと言われています。