郵船クルーズが就航した新クルーズ船「飛鳥Ⅲ」で、1908年創業の老舗食器ブランド「NIKKO」のオリジナルの食器が採用されました。
飛鳥Ⅲが掲げる「サステナビリティ」と「アート」というテーマと、NIKKOの「環境配慮」と「品質へのこだわり」の姿勢が重なり、今回の食器開発が実現しました。
日本のクルーズ文化を牽引してきた、飛鳥クルーズの3番目となる「飛鳥Ⅲ」は、総トン数5万2000トン、乗客定員740人、客室数381室を有する日本船籍最大の新造クルーズ客船で、「つなぐ、ちから。」をコンセプトに、和のおもてなしを継承しながらも、多彩なダイニング、エンターテイメントやウェルネスなど心身を満たすさまざまなプログラムを備えています。
また、地球にやさしい 最新鋭のエコシップとして、環境負荷の低減を目指しています。
サステナブルなクルーズに貢献
飛鳥Ⅲの重要なテーマのひとつとして挙げられている「環境負荷の低減」から、日本初のLNG(液化天然ガス)に対応したクルーズ船で、石炭や石油に比べて環境への負荷が少ない燃料に対応しています。
さらに寄港地によっては陸上電源の供給を受けることが可能で、接岸せずに船の位置を制御できるD.P.S.(ダイナミック・ポジショニング・システム)が採用され、このシステムは日本のクルーズ船としては初めての導入であり、海底植物などへの損傷を最小限に抑えることが可能です。
また、専用アプリの導入や、各客室のタブレット端末での案内、共有スペースのデジタルサイネージの設置などにより、船内の紙の配布物や掲示物を大幅に削減しています。
今回、飛鳥ⅢでNIKKO食器が選ばれた背景には、NIKKOの行うサステナブルな取り組みが高く評価されたことがあります。
NIKKOは、大量生産・大量廃棄を前提とする「リニアエコノミー(直線経済)」から、資源を繰り返し利用し廃棄物を減らす「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の実現を目指し、長く使える良質な食器づくりをはじめ、アップサイクル商品の開発やコミュニティの設立など、さまざまな取り組みを進めています。
NIKKOのサステナビリティ:https://www.nikko-company.co.jp/sdgs/
2022年には、NIKKO食器の素材である「NIKKO FINE BONE CHINA(ニッコーファインボーンチャイナ)」の原料(牛骨の灰)に含まれるリン酸三カルシウムが肥料として有効なことから、食器を肥料化してリサイクルする技術が確立され、世界初の、捨てられる食器から生まれたサステナブルな肥料「BONEARTH®(ボナース)」として発表されました。
食器由来の肥料を生産者に還元し、肥料を使用して育てた作物がレストランに届き、料理として再びNIKKOの食器の上に盛られて提供され、そのような循環を目指して、さまざまなパートナーと共に活動をしています。
こうしたNIKKOの取り組みが評価され、飛鳥Ⅲのオリジナル食器の開発がスタートし、採用されたNIKKO食器の全が、NIKKO FINE BONE CHINA製の食器です。
捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH®」
https://www.table-source.jp/nikko-circular-lab/bonearth/
それぞれの空間に合う食器を開発
飛鳥Ⅲでは日本が誇る著名なアーティストによる美術品や工芸作品の数々を船内の至るところに展示した空間演出を体験できることも大きな特徴で、船内には、6つのレストランと9つのバー&ラウンジがあり、それぞれの場所で空間や料理に華を添えるアートや器を楽しむことができます。
レストラン「Noblesse(ノブレス)」
厳選した食材を「飛鳥キュイジーヌ」に仕上げる唯一無二のフレンチ。
カフェ「Gallery Cafe(ギャラリーカフェ)」
アートや工芸作品を鑑賞しながらくつろげるラウンジ。
アートとともに旅する贅沢なひととき、純白の食器にアートを再現するNIKKOの食器は、原材料の調合から製品の出荷に至るまで石川県にある自社工場で一貫生産されています。
また、NIKKO食器の素材である「NIKKO FINE BONE CHINA」は、群を抜いた透光性と気品あふれる純白色で知られ、美しさを追求しつつも優れた強度を兼ね備えているのが特徴です。
今回、飛鳥Ⅲに納品されたNIKKO食器は、それぞれの空間のコンセプトや展示されているアートに合わせて、さまざまなアーティストがデザインしたもので、フランス料理レストラン「ノブレス」で使用されているショープレートと「ギャラリーカフェ」のカップは、日本を代表する日本画家・平松礼二氏のデザインで、岩絵具、墨、コラージュなどの多彩な技法で知られる平松氏の作品を、NIKKOの高度な転写絵付け技術を駆使することで、食器の上に再現しています。
平松礼二氏の作品は、最上級客室や階段アートをはじめ、ノブレスの入口とレストラン内の壁面にも展示されており、食器とともに、世界を魅了するジャポニスムの美を鑑賞することができます。
「ギャラリーカフェ」で使用されるカップには、日本画家・土屋禮一氏の作品が再現され、深みのある色彩と重厚な画面に込められた深い精神性とともに、だれもが心の奥底にもっている「なつかしさ」を追い求める土屋氏の作品です。
純白のNIKKO FINE BONE CHINA製の食器だからこそ、土屋氏の奥行きのある美しい色合いを表現することができています。。
船内前方の5デッキから13デッキまでつながる階段を彩る階段アートとしても土屋氏の作品が登場し、パステル画の原画をもとに制作された作品は、階を移動するごとに空の表情、モチーフが変化していく構成です。
また、それぞれのカップのソーサーには、船体に掲げられている揮毫(きごう)がデザインされ、力強く躍動感にあふれています。
NIKKOではその他にも、日本画家の千住博氏、洋画家の田村能里子氏の作品が描かれたカップも作成し、千住氏の「ウォーターフォール・オン・カラーズ」のフレスコ画が飾られたギャラリーカフェで使用しています。
https://www.nikko-company.co.jp/