旬を迎える秋のサンマは脂肪がのっていて独特の風味があり、特に塩焼きは日本の秋の味覚の代表として知られ、カボスや、スダチ、ユズなどの搾り汁やポン酢、醤油などをかけ、大根おろしを添えて食べることが多く、しばしば「究極の美味」などと表現されることもあります。
国内の水揚げ量は、サンマ漁が盛んな漁港が点在する北海道と東北が多く、旬のサンマは栄養の塊とも言われていて、日本各地でサンマ祭りが行われています。

毎年9月に開催される、東京目黒のさんま祭りは有名で、開催の由来となった古典落語の話の一つにある「目黒のさんま」は、安い下魚として扱われていたさんまを、庶民的な流儀で無造作に調理すると美味いが、丁寧に調理すると不味いという笑い話で、落語界でも秋の話として知られています。

サンマに含まれる栄養素には、脳の細胞や目の網膜を活性化する「DHA」、血流を良くする「EPA」、骨や歯を健康的に保つ「カルシウム」「ビタミンD」、貧血・成長期の子どもに必須な「ヘム鉄」などがあり、頭が小さく胴が太いものや黒目の回りに透明感があるもの、表面がボコボコしていないものを選ぶと良いと言われています。
夏にオホーツク海など北の海から、秋に本州を通過する回遊魚のサンマは、南下する秋にもっとも脂がのり美味しい事は誰もが知ることで、その調理法は、塩焼き、佃煮、蒲焼きは勿論のこと、鮮度の良いサンマが流通する現代では、寿司や刺身でも美味しくいただけます。

日本海を含む日本近海から、アメリカ大陸沿岸の海域に広く生息するサンマは、季節によって広い範囲を回遊する魚として知られていますが、回遊経路などは詳しくは解明されていません。
日本近海の群れは、太平洋側では黒潮の暖流域で孵化し海流とともに北上し、夏にはオホーツクの海域で回遊しながら成魚になると秋に産卵のために寒流(親潮)に乗って東北、関東沖を通過し、近畿・九州沖までに南下し、日本海側でも同様に、山口県沖の対馬海流の暖流域で孵化し、新潟県沖など日本列島を囲むように回遊します。
寿命は1年から2年程度といわれ通常2年で全長35㎝程度まで成長し、成魚になると海洋の表層近くを大群をつくって泳ぎます。

サンマの名前の由来には2つの有力な説があり、一つに「サ=狭」狭い、細い、という意味に起源があるとして「細長い魚」を意する古称「サマナ(狭真魚)」が「サンマ」に変化したとする説と、もう一つに、大群をなして泳ぐ習性を持つことから「大きな群れ」を意する「サワ」と「魚」を意する「マ」からなる「サワンマ」が語源となったという説があります。
また、古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされ、明治の文豪・夏目漱石は、1906年(明治39年)発表の「吾輩は猫である」の中でサンマを「三馬(サンマ)」と書いています。
現代で使用される「秋刀魚」という漢字表記の登場は大正時代になってからで、その由来は、秋に旬を迎えよく獲れることと、細長で銀色に輝くその魚体が刀を連想させることから「秋に獲れる刀のような形をした魚」との含意があると考えられています。

サンマは餌を食べてから排出する時間が30分程度と短いため、内臓に独特のクセはあるがえぐみは少なく、良質のたんぱく質やビタミンを多く含み栄養豊富とされ、塩焼きのはらわたを好んで食べる人も多いようですが、冷凍物のはらわたは避けたほうが良いでしょう。



