見た目からは想像ができないほど、栄養の宝庫で、ビタミンCや食物繊維を豊富に含む「れんこん」は、縁起物として正月料理や精進料理には欠かせない食材の一つです。
れんこんの穴は「見通しがきく」「未来を見通す」などと言われ、昔から縁起が良いとされていますが、そもそもどうして穴が空いているのでしょう。
実は、酸素の少ない水底の泥の中で育つれんこんは、水上の葉っぱの気孔と通じる穴を通気口として、空気を取り入れ呼吸をしています。
水上の空気を地下まで送る重要な役目を成す穴だったのです。
れんこんは「蓮根」と書きますが、実は、ジャガイモと同じで地下茎という土の中に伸びる茎が肥大化したもので根では無いのです。
蓮には観賞用と食用があり、観賞用のものは食用に向いていません。
また、花や葉の形がよく似ている「蓮」と「睡蓮」ですが、睡蓮にはれんこんはできません。
古くからある歴史
原産地には、中国、エジプト、インドと諸説ありますが、かなり昔からあったようで、日本でも弥生時代にはすでに存在していたと言われています。
それを裏付けているのが、1951年(昭和26年)に千葉市検見川の遺跡から出土した2000年以上前の種子から、植物学者の大賀氏によって発芽・開花した「大賀ハス」と、1973年(昭和48年)に埼玉県行田市で見つかった1400年~2000年前とされる種子から開花した「行田ハス」です。
古くから、観賞用として親しまれてきた蓮は、平安時代のころから食されるようになり、明治時代に中国から伝わった品種が、その後改良され、現在広く流通しているれんこんになったと言われています。
調理法で変わる食感が魅力
独特の食感を持つれんこんは、煮物や天ぷらにするとおいしい食材で、切り方や加熱方法でいろいろな食感が楽しめます。
シャキシャキ感を味わうなら、輪切りにしたきんぴらで、ホクホク仕上げの煮物は乱切りにして、ゆっくり加熱しましょう。
すりおろすと、料理のとろみづけにもなりトロッとした食感に、更に、すりおろしの水分を切ると、もっちりした食感にもなります。
ポリフェノールの一種「タンニン」によって、れんこんは黒っぽく変色しますが、切って皮をむいたら酢水につけると、変色を防ぐことができます。
シャキシャキ派、ホクホク派、お好みの食感を楽しみながら、れんこんを美味しくいただきましょう。