私たちの身体に必要とされる微量ミネラルの鉄分は、成人男性では約1mg、女性では約0.8mgを1日の生活で失われると言われています。
緑黄色野菜の代表格として知られる「ほうれん草」は、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、失われた鉄分を補うにはおすすめの食材です。
最近では、あくも少なくて柔らかい生でも食べられるサラダ用ほうれん草もあるので、日頃の食事から効率の良い栄養補給に努めましょう。
意外と知られていない種類
ほうれん草には、葉肉が薄くやわらかくて甘味があり、おひたしで食べられてきた「東洋種」と、葉が丸くて肉厚で炒め物などに向く「西洋種」があります。
現在では、この2種類を掛け合わせて、れぞれの長所を合わせ持った「交雑種」が主流となっています。
店頭では、一年中見ることができ、何時でも美味しく食べることができますが、本来の旬は11月~3月頃の寒い時期で、この時期に収穫されたものは糖度や栄養価が高いと言われています。
東西に分かれたその歴史
アフガニスタンやトルコ、イランなどの西アジア地域が起源と言われるほうれん草は、そこから東西に分かれて広まり、それぞれの環境の違いに形や風味が少しずつ変化していき、中国方面に伝わったものは東洋種となり、ヨーロッパへ渡ったものは西洋種となったと言われています。
11世紀頃にスペインで栽培が行われていた西洋種は、16世紀にはヨーロッパ中に広まったと考えられて、7世紀頃に中国へと伝わった東洋種は、16世紀頃に日本へ伝わったと言われています。
林羅山編著書の「新刊多識編」(1631年)には「菠薐」「菠菜」「赤根菜」とほうれん草のことが記されています。
「ポパイ」が注目集める
明治時代には、日本にも欧米から西洋種が伝わりましたが、西洋種はあくが強く土臭いことからあまり好まれませんでした。
現在のようにほうれん草が注目されるようになったのは昭和になってからのことで、第二次世界大戦後にはアニメ「ポパイ」などの影響を受けて、品種改良も進み栄養価の高い野菜として消費が急増していきました。
ほうれん草のあくを取るには、下茹でするのが基本。
熱湯で1~2分茹でたら、冷水にとって素早く冷まして水気を絞り、美味しくいただきましょう。