旬感食 to ナ美

旬感食 to ナ美 Vol.4「サツマイモ」

これから旬を迎えるホクホクと甘くておいしいサツマイモ。

焼き芋や天ぷら、スイートポテトなどいろいろな調理法で楽しめて、豊富な食物繊維により、腸の調子を整えてくれる魅力ある食材です。

日本で栽培されているサツマイモは、数十種類ほどですが、世界には3000~4000種ものさつまいもがあると言われています。

東日本では「紅あずま」が主流で、西日本では「鳴門金時」や「高系14号」のものが多く流通し、お菓子や焼酎などには、それぞれの用途に合った専用の品種が栽培されています。

 

 

原産地と歴史

メキシコ中央部からグアテマラ辺りの中南米が原産地と言われ、紀元前3000年頃にはメキシコなど熱帯アメリカで栽培されていて、ヨーロッパへはコロンブスによって伝えられましたが、気候が合わずあまり普及はしなかったようです。

その後、インドや東南アジアを経て16世紀の終わりに中国へ伝わると17世紀の初めには中国から琉球(沖縄)伝わったとされています。

18世紀に入り、種子島から薩摩(鹿児島)に伝わり、薩摩藩が栽培を始めたと言われています。

1732年(享保17年)、江戸四大飢饉で知られる「享保の大飢饉」が西日本を襲うと、さつまいもが注目される事となり、江戸幕府の目にとまり徳川吉宗によって起用され、青木昆陽らによって江戸に広まったと言われています。

やせた土地でも栽培できるさつまいもは、各地で起こる凶作や飢饉を度々救ったことから栽培が奨励され全国に普及しました。

同時に品種改良も進められると多くの優良品種が誕生し、現在に受け継がれています。

 

 

呼び名の由来は

関東各地では、薩摩藩から伝わった芋なので「薩摩芋(サツマイモ)」と呼ばれるようになり、この呼び名が全国に広まったとされていますが、沖縄や鹿児島など九州各地では、サツマイモを「唐芋(からいも)」とも呼び、これは、中国から伝わってきた芋と言う事を意味しています。

また、漢名は「甘藷(かんしょ)」と書きますが、その字のごとく「甘い芋」という意味です。

 

 

「ホクホク」と「しっとり」

芋焼酎の原料にも使われる皮が白い「こがねせんがん」。

「なかむらさき」や「あやむらさき」、「パープルスイートロード」などの果肉が見事な紫色をしているものもあり、いつもと違ったさつまいもを使って食卓に変化をつけると話題になり会話も弾みます。

そして、かつては焼き芋と言えば「紅あずま」や「高系14号」系統などのホクホクして甘い芋が好まれていましたが、最近では「安納芋」や「紅はるか」に代表されるしっとりして濃厚な甘さが楽しめる芋が好まれています。

 

 

茎も食べられる

「芋づる」と呼ばれる、さつまいもの葉が付く茎の部分も食べられます。

皮をむく手間がかかることもあり、大部分は家畜の飼料や肥料にされているようですが、調理の仕方でシャキシャキした食感が美味しく、栄養もあるので、食材が乏しかった昭和のはじめには一般家庭の食卓にもよく出されていたようです。

今では農家や地元での消費に使われる程度なので、市場にまとまって入荷されることはほとんど無いようです。

 

 

最近では、古くからある伝統野菜や昔の懐かしい野菜が見直される機会があり、芋づるのような滋味な美味しさを楽しむ人も増えているようです。