もう間もなくやって来る夏本番。
今年も行楽シーズンには、全国の観光地で国内の旅行者はもちろん、外国人観光客も増えて賑わい、涼しい避暑地でくつろぐ旅、綺麗な砂浜で夏を満喫する旅、日本が誇る世界遺産への旅など、今年は色々と計画をたっている人も多いことでしょう。
旅には「観る」「作る」「体験する」「買う」などの様々な楽しみがありますが、どこに出かけても「食べる」は大事なポイントになります。
全国各地には、その地域独自の食材や調理方法から生まれ発展した庶民に愛され親しまれる料理があります。
その土地の風土を色濃くあらわすご当地グルメは、伝統的な郷土料理から派生することや、街おこしの起爆剤として用いられることもあります。
旅の思い出に、ご当地グルメを味わって土地の魅力に触れてみるのも一興でしょう。
そこで今回は、夏に食べたいご当地グルメ3品を紹介します。
札幌代表:スープカレー
1970年代に札幌市内の喫茶店で誕生した薬膳カレーが発祥とされている「スープカレー」。
サラサラとして粘り気のないスープのようなカレーに、大きな具がごろっと入っているのが特徴で、1990年代に現在の形になった比較的新しいご当地グルメです。
2003年、神奈川県横浜市にあったフードテーマパーク「横濱カレーミュージアム(2007年閉館)」で札幌発のスープカレーが販売されると、好評となり全国的なブームを巻き起こしました。
その後、札幌発のスープカレー専門店が各都市に進出すると、大手牛丼チェーンやファミリーレストラン、コンビニエンスストアでもスープカレーが販売され、2017年の「ミシュランガイド北海道 2017 特別版」には「カレー食堂 心」ほか7店が掲載されています。
東京代表:どじょう鍋
古くから関東地方の名産であったどじょうを煮た鍋料理は、江戸の郷土料理として下町で生まれ庶民に親しまれてきました。
どじょうを開かず丸ごと調理した「丸鍋」は、ネギを大量に載せ、山椒や七味唐辛子をかけて食べます。
丸鍋とは異なる、背開きのどじょうをごぼうと煮た「ぬき鍋」や、開いたどじょうとごぼうを割り下で煮込み、卵でとじた「柳川鍋」などもあります。
あっさりと淡白などじょうに、甘い割り下がよく絡み、ごぼうがどじょう特有の泥臭さを取り除いてくれます。
滋養強壮の効果があると言われ、夏バテ対策にもおすすめです。
福岡代表:豚骨ラーメン
暑い夏に汗を流しながらでも食べたくなるラーメン。
全国に数あるご当地ラーメンの中でも、今では抜群の知名度を誇る「豚骨ラーメン」。
豚骨ラーメンといえば博多をイメージする人が多いと思いますが、実はルーツは福岡県久留米市にあります。
始まりは1937年(昭和12年)、屋台の「南京千両」の店主が、ふるさとのちゃんぽんと当時の横浜で流行していた支那そばをヒントに考案して生まれたスープで、「清湯(ちんたん)スープ」と呼ばれる透明に近いものでした。
その10年後、屋台の「三九」の店主が豚骨を入れた鍋をうっかり煮立たせてしまったことから、偶然にも白濁とした豚骨スープが誕生しました。
久留米のラーメン文化が博多や熊本、大分など九州広域に広がり、長い時間をかけて各地域独自の進化を遂げ、子どもから大人まで幅広い世代に愛される豚骨ラーメンとなったのです。
今年の夏は、全国各地にあるご当地グルメの中から、あなたのお気に入りを見つけに出かけてみてはいかがでしょうか。