旬感食 to ナ美

旬感食 to ナ美 Vol.24「新玉ねぎ」

日本の玉ねぎには、大きく分類すると主に北海道産の春に種をまき秋に収穫するものと、佐賀、兵庫、愛知県産などの秋に種をまき春から初夏にかけて収穫するものがあります。

通常、玉ねぎの日持ちを良くするために、収穫後約一ヶ月ほど乾燥してから出荷されます。

 

 

原産地とその歴史

中央アジアのイランやパキスタンが原産地とされ、約6000年前にはシュメール人によってすでに栽培が行われていたといわれています。

古代ギリシャや古代ローマでも栽培が行われていて、紀元前3000年ごろの古代エジプトでも食用されていたようですが、ヨーロッパ全域に広まったのは16世紀頃とかなり遅く、栽培が行われるようになったのも17世紀に入ってからと言われています。

日本に玉ねぎが伝わったのは、1770年ごろに長崎に伝わったのが最初だと言われていますが、最初は観賞用でしかなく食用としては普及することは無かったようです。

100年後の1871年に、札幌でアメリカから輸入した種子を使って食用の試験栽培が始まり、日本人には馴染みの無かった玉ねぎも、西洋料理の人気が高まると共に本格的に栽培されるようになって行ったと言われています。

 

 

春が旬の新玉ねぎ

新玉ねぎとは、佐賀、兵庫、愛知県などの温暖な地域で生産され3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎの総称で、「黄たまねぎ」や「白たまねぎ」を収穫後すぐに出荷させたものです。

乾燥させずに直ぐに出荷される新玉ねぎは、みずみずしくて肉質が柔らかく、辛味が少なく感じるのが特徴で、品種としては、球の肥大の早い特性を有する極早生、早生タイプのものが用いられます。

新玉ねぎと普通の玉ねぎの栄養成分に違いは無く、辛味の元になる硫化アリルも豊富に含まれます。

硫化アリルには、消化液の分泌を促進して新陳代謝を盛んにし、血液をサラサラにする働きがあると言われていますが、水溶性で熱に弱いので、新玉ねぎを生で食べることによって、硫化アリルを効率良く摂ることができます。

 

 

新玉ねぎの保存方法

水分を多く含む新玉ねぎは湿気に弱く、湿気の多いところで保存すると傷んでしまうことがあります。

新玉ねぎは1週間以内に食べきることが理想的ですが、常温で保存するのであれば、風通しのよい場所で密着を防ぐようにしましょう。

さらに湿気を取り除くために、皮ははがさずにおいて、一つずつまるごと新聞紙やペーパータオルに包んで保存するのも良いでしょう。

また、スライスして1食分ずつに分けて冷凍庫で保存するのもおすすめで、解凍後にそのまま使用できるというメリットがあります。