世界の食卓で主役にもなり、名脇役でもある「スープ」。
日本の食卓にも、コーンスープやわかめスープといった様々なスープがならびます。
日本では、スープは「飲む」イメージを持つ人が多いようですが、海外では「食べる」と言います。
フランスで人気となる
スープの歴史は、紀元前1600年~1500年頃のエジプトが始まりと言われています。
当時のスープは、野性の鳥獣や家畜の肉にいろいろな野菜、固くなったパンなどをいっしょに煮込んだ、一種のごった煮だったそうです。
その後、11世紀~13世紀のヨーロッパで、十字軍の遠征が香辛料を持ち帰ったことでスープに味の革命が起こりました。
17世紀に入りフランスのルイ王朝の頃には、時代とともに磨きあげられてきた料理技術によって、正式な献立としてスープも位置づけられるようになったようです。
1789年~1799年にフランス市民革命が起こり、それまで王朝に仕えていた料理人たちが街に出て店を開くようになり、美味しくて栄養豊富で、身体も温まるスープは、たちまち人気メニューとなったようです。
日本のソップ
1549年(天分18年)、フランシスコ・ザビエルが来日した頃に、ソップという名でスープが日本に伝わったと言われています。
本格的に知られるようになったのは、明治に入ってからのことで、文明開化とともに西洋料理の専門店が開かれ、日本の食生活に西洋スープが入り込みはじめたのです。
なかにはスープを瓶に入れて配達するお店があらわれると、1873年(明治6年)にスープ販売を始めた宣伝広告「牛羹汁(ソップ)一合定価三銭」というチラシが残っているようです。
家庭のスープ
日本で市販スープの文化が開花したのは、1951年(昭和26年)に発売された缶詰スープに始まり、1962年(昭和37年)にはスープ製品の輸入自由化によって、海外製品が日本市場にも多く参入しました。
しかし、味覚の違いは大きく、定着するまでは至らなかったようですが、翌年に登場したクッキングタイプのスープをきっかけに、日本人の好みにあった市販スープが数多く発売され、日本の家庭でもスープが日常的に食されるようになったようです。
最近では、本屋さん一角には「スープの本」コーナーができるなど、ニューヨークやロンドンからは人気のスープの専門店が上陸し、どの店も若い人を中心に賑わっています。
また、インスタント食品の発展により、本格的なスープが手軽に味わえる現代だからこそ、手間を惜しまず素材にこだわった、食卓の新たな定番となるあなた流のスープ料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。