大都会新宿から電車に揺られて2時間ほどで、JR青梅線の終着駅奥多摩に着く。
日本百名橋の一つとして知られる「氷川大橋(ひかわおおはし)」は、奥多摩駅からほど近い青梅街道の日原川に架かっている。
そこは、都内随一の渓谷美と自然を満喫できる避暑地として、四季を通じて多くの観光客で賑わっている。
奥多摩の自然
橋の南側には、多摩川と日原川の合流地点を中心に20分から50分程度の様々な散策コースが楽しめる氷川渓谷遊歩道がある。
コース途中には「氷川小橋」「登計橋」の二つの吊り橋が架けられ、川のせせらぎを聞きながら、渓谷美を堪能できる。
奥の愛宕山に広がる登計園地では、アカマツやスギに囲まれた静かな森林浴とそこに生息するムササビや多くの野鳥たちとの出会いが楽しめる。
日本初の森林セラピー専用遊歩道「登計トレイル」には、ウッドチップが敷き詰められ、星空浴用ベンチやヨガスペースなども整備されているので、森の香りを満喫できる。
氷川大橋の架橋は、正式な時期は不明だが1804年(文化元年)から1829年(文政12年)頃、江戸時代に存在した架橋形式である刎橋が架けられた事が始めとされている。
1933年(昭和8年)に現在の原型となる橋が架けられ、1982年(昭和57年)新たにアーチ橋を造って一体化させ、高欄にデザインパネルがつけられた。
奥氷川神社
橋の東側にある奥氷川神社は、氷川神社と中氷川神社とともに「武蔵三氷川」と呼ばれ、一直線に並んだ本社・中社・奥社の関係にあると言われている。
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の折に祀った社が起源とされ、860年(貞観2年)无邪志国造であった出雲族が「奥氷川大明神」として再興したと伝えられている。
1869年(明治2年)奥氷川神社へ改称された。
青梅線の奥多摩駅は、1944年(昭和19年)の開通当時は、奥氷川神社に因み「氷川駅」と命名されている。
境内には、根元近くから三本に分岐している珍しい杉で、鎌倉時代に植えられたという伝説がある神木の氷川三本杉がある。
都内最大の杉とも言われ、樹高は約50メートルあり、1926年(昭和元年)に東京都天然記念物に指定されている。
日原街道を北上すれば、もう一つの天然記念物「日原鍾乳洞」も堪能できる。
奥多摩の自然を満喫しに、地図を持って散策に出かけてみてはいかがだろうか。