TOKYO BRIDGE WALK

TOKYO BRIDGE WALK Vol.41「白鬚橋」

隅田川の台東区と墨田区を繋ぐ七つの橋のうち、いちばん北に位置する「白鬚橋(しらひげはし)」は、1931年(昭和6年)6月に架橋された、ひときわ広壮で優美な曲線を描く鋼橋です。

同じ時期に、各地で幾つもの大型の近代橋梁が架けられていますが、中でも白鬚橋の伸びやかに躍動するプロポーションは傑作の一つに数えられています。

 

 

その歴史は、1914年(大正3年)に木橋として架橋されたのが始まりで、橋名には東岸に建つ白鬚神社の名を冠したと云われ、長さ130間(約230M)の橋の袂には番小屋が置かれていて、大人一人1銭の通行料を取っていたと云う。

関東大震災の被害にはあわなかったものの、復興計画にあたって隅田川を横断する重要な交通路として現在の鋼橋に架け替えられました。

 

 

白鬚神社

東京都墨田区東向島にある白鬚神社は、隅田川七福神の寿老人としても知られ、旧寺島村を鎮守する向島白鬚神社とも呼ばれています。

元三大師良源が滋賀白鬚神社を分霊し、951年(天暦5年)にこの地に祀ったと伝えられ、蓮花寺(東向島3丁目)を別当とし、白鬚大明神とも呼ばれていました。

1907年(明治40年)、同社の南にあった諏訪神社を合祀して祭神建御名方神を合わせまつり、1990年(平成2年)の放火によって社殿が全焼しますが、1992年に再建されました。

境内には、白鬚神社縁起碑、佐羽淡斎墨多三絶の碑、岩瀬忠震供養碑、などの多くの石碑があり、文化12年(1815年)銘の狛犬一対は、墨田区登録文化財に指定されています。

 

 

石浜神社

白鬚神社から隅田川の対岸に建ち、浅草七福神の寿老人としても知られる石浜神社は、聖武天皇が即位した724年(神亀元年)9月11日、勅願によって鎮座され、以来1300年の歴史を持っています。

1189年(文治5年)、源頼朝の奥州征討に際して社殿が寄進され、1281年(弘安4年)、蒙古襲来の折、必勝を祈念しての、鎌倉将軍家お取り次ぎによる官幣の奉納などを経て、中世初めには大社として発展し、とりわけ、千葉氏、宇都宮氏などの関東武将の信仰は篤く、関八州より、多くの参詣者を集めたと云われています。

東に隅田の大川、西に霊峰富士、北に名山筑波といった名勝に恵まれ、江戸近世における社運はさらに栄えていくと、「江戸名所図会」などにも大きく納められることとなり、「神明さん」の通称のもと、市民の間にその名を馳せました。

1872年(明治5年)、郷社に格付けされると、時の流れと共に名称などに変化はあったものの、神徳・社運の輝きはますます高くなり、今に至っています。

 

 

石濱茶寮-楽-

石浜神社の境内に2020年(令和2年)に開店した「石濱茶寮-楽-」は、2025年(令和7年)4月、鎮座壱千参百年記念としての境内の整備計画にて、リニューアルオープンしました。

浅草七福神巡りをする多くの参拝者にも休憩場所として利用され、料理や和スイーツに定評があり、食事だけを楽しみに訪れる人も多く、天気の良い日は特に気持ちの良いテラス席がおすすめです。

江戸時代に浮世絵にも描かれた境内茶屋で名物だった豆腐田楽をはじめ、自慢の串団子は、老舗和菓子屋から仕入れている生でも食べれる串団子を丁寧に炭火で焼いて提供され、外は香ばしく中はトロッとした団子本来の食感を楽しめ、焼き鳥は、表面を強火で焼き、中までゆっくり火を入れる事により、肉汁溢れる一品に仕上がってます。

九州の甘醤油を下味に使い、深みとコクを含ませた鶏肉を大きくカットして作られる唐揚げに、牛もつ特有の脂の甘みを活かしながらもピリッと辛味のアクセントも乗せた韓国風モツ煮など、自慢のメニューを堪能することができます。

 

 

向島百花園

向島百花園の開園には諸説ありますが、江戸の町人文化が花開いた1804年(文化元年)、佐原鞠塢が寺島村(現・東向島)にあった旧多賀氏所有の屋敷跡にあたる一町歩(三千坪)の土地を購入し、造園を行った事が始まりと云われ、その庭園は「百花園」と呼ばれ、文人墨客が集まるサロンとなりました。

百花園の名は、一説では「四季百花の乱れ咲く園」という意味でつけられたとされ、現在でも年間を通じて多くの花を楽しむことができ、園内には、身分の高い武家や僧侶の休憩場所として造られた数寄屋造りの「御成座敷」が建ち、この御成座敷は、松尾芭蕉のファンであった酒井抱一の設計と伝えられています。

200年以上の歴史がある美しい回遊式日本庭園は、江戸風情を感じる歴史的な趣があり、現代的な周囲の雰囲気エネルギーとは対照的な、おだやかなたたずまいが人気です。

 

 

日頃、何気なく渡る橋にも、毎日通る道にも歴史ある風情が残っているでしょう。

是非この機会に、いつもの街を少し視点を変えて散策してみてはいかがでしょうか。