犬島「家プロジェクト」の建築家、妹島和世氏が設計を手掛た「犬島くらしの植物園」のパビリオン「HANA(ハナ)」は、イタリアのファッションブランド「PRADA(プラダ)」からの寄贈により実現しました。
公益財団法人福武財団は、2008年より妹島氏とアーティスティックディレクターの長谷川祐子氏とともに、犬島の集落を中心としたアートや建築による地域づくりに取り組み、2010年に公開した犬島「家プロジェクト」をはじめ、地域と対話しながら継続的な活動を行っています。
妹島氏と明るい部屋により2016に開かれた「犬島くらしの植物園」では、地域との交流を基盤とした場づくりを行い、島の人々や来訪者が日常的な手入れやワークショップに参加することで、多様な人たちが憩い、学び合う場となっています。
一方、PRADAは長年にわたり現代文化を支援してこられ、文化的に意義のあるプロジェクトへの貢献というブランドの姿勢をあらためて明確にするものとして、「HANA」の寄贈に至りました。
「HANA」は、自然と調和する軽やかな構造をもち、植物園を訪れる人々に新たな体験をもたらす象徴となり、瀬戸内国際芸術祭2025夏の開催に際し、これまで以上に犬島島民ならびに国内外からの来訪者が訪れ、集う場になることでしょう。
パビリオン「HANA」
「犬島くらしの植物園」に建つ常設のパビリオンは、植物園のランドスケープと呼応する、花のような形をしたパビリオンが2つ咲くことで、「みんなで集まれる」場所をつくり出しています。
厚さ3㎜のステンレスの板材を曲げ加工し、船で犬島に運び込んだ後、現場で溶接、研磨が施され、少し鈍い鏡面仕上げが、周りに広がっている木々や花、夕日の光など、日々変化する植物園の風景を映し出ます。
設計:妹島和世建築設計事務所
構造:Arup
施工:ARTISAN
寸法:高さ2965.37㎜
規模:投影面積20.36㎡
管理:公益財団法人福武財団
設置場所:犬島くらしの植物園内
妹島和世氏 コメント
「犬島 くらしの植物園」プロジェクトは、島の方々や来訪者の方々と共に土地を開墾しながら、この場所が自然と共にくらす歓びを体験できる場となることを目指して2016年から始まりました。はじめてから9年の間に、ワークショップやイベント、庭の手入れなどを通じ、いろいろな人々がこのプロジェクトに関わってくださるようになり、みんなでこの場所をつくりあげてきました。
このたび、そんな場所に、みんなが集まる場所の象徴として、パビリオン「HANA」が完成したことを、大変嬉しく思います
本活動に共感しご支援くださったPRADAの皆様、これまでともに犬島で多様な取り組みを進めてきて下さった福武財団の皆様、私たちの活動を温かく受け入れ、支えてくださっている犬島の島民の皆様、そして犬島のプロジェクトに関わってくださっているすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
犬島 くらしの植物園
2016年に犬島に移住したガーデンデザインユニット「明るい部屋」と妹島氏によって開かれた「犬島 くらしの植物園」は、長く使われていなかったガラスハウスを中心とした、約4,500㎡の土地を再生し、犬島の風土や文化に根ざした植物園として展開されています。
完成された場としての見学型の植物園ではなく、島の方々や来訪者とともに土地を開墾していきながら、自然のサイクルに身を置き、食べ物からエネルギーに至るまで、自給自足しながら自然とともにくらす歓びを体験できる場づくりをしています。
主催・運営:公益財団法人福武財団
企画:妹島和世+明るい部屋
建築:妹島和世建築設計事務所
植栽:明るい部屋
敷地面積:約4,500㎡
住所:岡山県岡山市東区犬島50
開館時間:10:00~16:30
休園日:火曜日~木曜日(3/1~11/30)
鑑賞料金:無料
施設URL:https://benesse-artsite.jp/art/lifegarden.html